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All the Pieces #5

竜士の父である龍介は、碧の中に決して忘れられない人の面影を見ていた。 碧は「彼」よりも色白で、髪も瞳も茶色い。それは異国の血を引くためだが、「彼」が持っていた温かさに対し、碧はその薄い色素と整った顔立ちのせいで人形のように冷たく見えた。 明らかに違うのは、華奢ではない体格。よく鍛えられたしなやかな体は、碧の美しい顔立ちをさらに際立たせていた。 ただ、瞳が放つ力はまるで違っていた。「彼」の瞳は弱々しくも優しい、柔らかな光を帯びていて、それがまた彼の魅力の一つだった。けれど、碧の瞳には誰にも負けない強い意志が宿っているのを感じた。 それが、碧に対して何かを駆り立てるような気持ちになる。 (……これは、竜良が何故碧に喧嘩をふっかけて、今も執着しているのかその理由が分かった気がする。そして、竜士が碧の魅力に憑かれて惚れているのかも) 碧に触れたい。その衝動が起こる。 「彼」……「光紀」は碧ではない。彼と容姿は似ているが、その色は全く違う。 龍介は、この胸に湧き上がる感情の行き場を見つけられず、ただひたすら碧を見つめ続けていた。しかし、いつまでも黙ったままの父親に、龍介は再び苛立ちを見せた。 「親父?!」 「ああ、すまん」 そして、龍介はどこか物憂げに小さく溜息をつく。 「碧くん、竜良がやった事、お詫びのしようがない。竜士には、碧くんを守るならきちんと守れと言ったのだが。それも、半端だった」 「……いいえ、俺も油断してたし。それに、竜士はちゃんと守ってくれました」 碧はほんの一瞬、驚いたような表情を見せた。 「しかし、竜良がやった事は許せないことだ。碧くんにはつらい目をあわせてしまった。その償いをやらせるよ。"あれ"にはそれなりの罰をあたえる。だから二度と碧くんの目の前に現れることはない」 それなりの罰ってどんなことなんだろう?と碧は思った。 (〇ろす?まさか実の息子だよ。だけど、彼らは一般の人たちとは違う。だから……) ちらっと竜士を見た。 竜士は父親が何をするか分かっていた。竜良を〇ろしはしない。だけど。 「実は、碧くんのお父さんがここに来ていたんだよ」 竜士の父の龍介が突然にそんなことを話し始めた。 「……そうだったんですか?」 碧は、父に知らせたのは竜士なのだろうかと思った。 「碧くんが寝ていたから、そもまま帰ってしまったが……」 そして、少し言葉を途切れさせてしばらく黙り込み、再び重い口調で話し出した。 「……もしかしたなら知っているかもしれないが。彼とは、元々、見知っている仲なんだよ」 「…いえ、知りませんでした」 碧はどういうこと?というように竜士の顔を見た。 「ああ、そうなんだね……実は、君の事は、君のお父さんの昌紀さんから聞いていた」 「……知り合いってどういうことなんですか?」 「知り合い…というか」 龍介は少し言葉を詰まらせる。 .

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