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第37話 蓮
学生の時から皆勤賞。
多少の熱でも頑張って行った。会社勤めになっても、もちろんそうだった昨日まではの話だけれど。まさか、こんな理由で会社を休むとかあり得ない、何故か目が腫れていますからなんて、笑い話にしかならない。
テーブルの上のビールの空き缶を数えて昨日は飲み過ぎたなと思う。主任に心配かけて、電話までもらって情けない。
しっかりしなきゃいけない。そう思い、両手で自分の頬を叩く。
「よし、頑張れ俺!」
声に出して言う、言葉として出すことで力になる。なぜあんなに自分が惨めに思えたのかわからないけれど、今は何だかすっきりとしている。
部屋の掃除をしながら考える、三月に引っ越してきて、これが二度目の掃除ってのは問題だ。それからレトルト食品を温めただけだけれど、初めて食事を作ってみる。
忙しくしていたら元気になった気がしてきた。全部やることが終わって一人分の食事が並べられたテーブル見た途端、張り詰めていた風船の空気が一度に抜けたようになった。
「は、駄目だ俺」
どうしてか、あの濡れた髪の紺野さんの凄んだ顔が出てきた。
あの人は、主任にとって大切な人なのだろうか。同級生は手を握ったりしない、少なくとも知っている限りは。それとも俺の方が間違ってるのか。
無性に主任に会いたい。頭をポンと軽く叩いて、大丈夫だよと笑ってほしい。
もう、そんな事しか考えられない。
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