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第39話 蓮
自宅で朝食を摂る。朝食を抜くのも、栄養補助食品で済ませるのも止ようと思う。グラノーラとコーヒーだけだが、今までよりましだ。自分では大躍進だと思っている。
そして、あのコーヒースタンドに行くのも今日から止める事にした。と言うよりも、正直もう行く事はできない。
なぜあれだけ惨めな気分になったのか、その本当の理由を突きつけられるのが怖いから。
久々に混雑した電車で会社まで気持ちが上がらないまま行く。
これじゃ駄目だ、しっかりしなきゃいけないと思っていたら。「おはようございます!」と、必要以上に元気な声が出た。
「あ、上原くん。もう具合は良いの?」
山中さんが嬉しそうに近寄ってきた。
「良かった元気そうで。上原くん、金曜日の夜なんだけど空いてる?」
同期の何人かで飲みに行くから行かないかと誘われた、どうせ予定も無いからと行くよと返事をした。
その時。ふと誰かの気配がしたと思って振り返ると主任が立っていた。
主任は「おはよう」といつもの様に声をかけてくれた「もう大丈夫なのか」と、俺の頭にポンと手を置いた。
主任の手の感触が髪の先から伝わりぞくぞくと腰に下りた。
「あっ」と、小さく声が出た。自分でその声に驚いて慌てて口を押さえた。
微妙な空気が流れて、すみませんと謝る羽目にった。そして無意識に、主任を目で追う自分に苦笑してしまった。
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