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第80話 匠

 眼鏡を外した時のこいつの焦点の合わない目、これがまずい一番くる。  上原の身体を表裏入れ替えて、腰をつかんで引き上げる。上原は抵抗する事もなくされるがままだ。  飲み込まれて溺れそうになっている。  鞄の中を漁り探し出す、携帯用のものがあったはず。潤滑剤なしじゃ男同士は無理だ、流石にゴムに薄くついたゼリーでは初めての上原にはきつい。  温めてやりたいのだけれど、その余裕さえない自分がいる。  「ちょっと冷たい、悪い」  ローションを纏った指がを上原身体の中に戻す。上原が一瞬身体を固くしたが、枕を握りしめてじっとしている。2本目の指もゆっくりと埋めると中を解していく。  顔を枕に押し付けて声を我慢している姿が、却って俺を煽ってくる。くぐもった声が漏れ聞こえてきて限界を知らせる。  「蓮、きつくない?もう少しいける?」  一生懸命に頷く姿が愛おしくてたまらない。  「一回抜かないと、酷くやりそうだなこれ」  小さく独り言を言うと、上原がぼんやりとした顔をこちらに向けた。  「主任、触らせて下さい。俺も、俺も主任に触りたいです」  本当にこいつはどこまで俺を追い詰めていくのだろう。  上原は身体を起こすと慣れない手つきで俺のベルトに手をかけて、ズボンのジッパーを下す。おどおどとした手の動きがもどかしくて自分で下着も全部脱ぎ捨てると、ベッドに座った上原と対面で膝立ちの状態になった。  もう愛おしくて仕方ない。溶かしてどろどろにしてこの腕の中でずっと囲っていたい。  上原はそっと手を伸ばしてくる。慣れていなくても同じ身体のつくり、どこをどう触ればいいのかは分かっている。 今まで我慢していた欲が一気に解放されていく。俺を触りながら上原も同じように息があがっていく。  また上原も熱を帯びてきた、上原をベッドに倒すと横向きで身体の中心を一緒に重ねお互いの手を添える。  もう限界だった俺はすぐに絶頂を迎え、それにつられて上原も二度目の山を越えた。そして、身体から力の抜けた上原はもう動けないようだった。

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