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第109話 蓮
これからは、一人で抱え込まない、どんな小さな事も相談する。そう約束させられた。
約束と言うより、半分脅しのようなものだったと思う。
「匠さん、お、おねが、い……もっと、ちゃんと……」
「ん?蓮、約束は何だっけ?はい、繰り返して言う。一人で抱え込みません、何でも話します。はい」
「た、匠さんに何でも相談します、一人ではか、かえこ……みませ……」
「良い子だね。出来るじゃない、じゃあご褒美」
そうやっていろいろな事を約束させられた。最後は自分でも何を言っているのかさえ定かじゃなかった。
そうやって身体が沸騰するまで、全ての感覚を浸食するまで開放してもらえなかった。
「あー、腹減った。蓮、何食べたい?」
「もう、動けません。匠さん、このまま寝かせて下さい」
「じゃあ、俺のかわいい子のために食事持ってくるよ、待ってろ。チャーハンで良いか?時間かかるとお前落ちちゃいそうだから」
主任は楽しそうに台所へ消えていった。
実家に電話入れなきゃいけないと、携帯を見た時にちょうど着信があった。
「もしもし?兄さん?どうしたの?」
『お前、今どこにいるの?母さんに言われて迎えに来たんだけどアパートにいないじゃないか』
答えに窮して一瞬黙った時に寝室のドアが、ガチャリと開いた。
「蓮、飲み物はどうする?」
主任の声は確実に兄貴にも届いた。
『蓮?お前、どこで誰といるの?』
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