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第119話 蓮
おろしたての新しいエプロンは、かさかさとしていて体の敏感な部分を擦る。まっ暗い中でも体の変化は主任に分かってしまうだろう。
玄関でずっと身体を撫で回されていて、このままじゃここで……さすがに玄関先じゃきついと頭の中の冷静な部分が言う。
「蓮?随分と積極的だけれど、ここでするの?」
主任の意地悪な声がする。うっと言葉に詰まった。
「でも真っ暗だと、ベッドまでは歩けないよねえ」
嫌がるをわかってて楽しんでいるのは見え見え。
主任は立ち上がると玄関の灯りをつけた。急に明るくなった世界に目が慣れず、床から立ち上がれなかった。
「玄関にエプロンつけた奥さんがお出迎えとか。新婚みたいだね、蓮。似合うよ、可愛い」
エプロンの中心が持ち上がっているのは、見えているはず。見上げた主任の顔には明らかに楽しそうでそして色っぽかった。
自分を見て興奮している主任の顔に更に身体の中心部分熱くなる。
「顔に似合わない、淫らさとか最高だよ。ねえ、お前の眼鏡を外すよ?」
答えを求めない質問をしながら、主任は俺の眼鏡を外して玄関の棚の上に置いた。
あれがなきゃ明日の朝どうするんだと、考えながらメガネを目で追っていたら主任の顔が視界を塞いだ。
よそ見はしないと、軽く口づけられる。物足りなさに慌てて離れていく主任の頭を両手で捉え舌を絡めた。
「蓮、見えなくて歩けないでしょ」
ふわっと抱き抱えられる。直接、臀部に手が触れる。エプロンって背中側は、ほぼ紐なんだと感じる。
「あ、ケーキ」
「ん?用意してくれたの?ありがとう。でも、先にベッドかな」
もう誕生日過ぎちゃうなと思ったけれど、それよりも身体の事情が優先するのは同じ。期待で内側からずくずくと何かが身体を押してくる。
「ん、もうギリギリかもしれません」
ふふっと主任が笑う、その瞬間にキュッと内蔵を掴まれたような不思議な感覚が沸き起こった。
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