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第120話 匠

 「蓮、せっかく可愛く包んでもらったけれど、これ着たままだと汚してしまうかもしれないよね」  そう揶揄いがちに伝えると、上原は自分の格好を再認識させら恥ずかしかったようできゅっと体を縮めた。ベッドにそっと降ろしベッドサイドのランプを灯した。  背中をベッドボードに預け、脚を投げ出した状態の上原のエプロンの裾を捲り上げた。そこはもう十分に熟していて触れれば落ちそうになっている。  「これ、やっぱり可愛いよね」  「匠さん、本当にやめて下さい」  恥ずかしいのか、少し眉尻が下がった。けれども嫌だと言うその表情は嬉しそうにしか見えない。ああ、誘われている。  昨日と今日と一人で虚しい時間を過ごしていたせいで、気持ちはマイナス方向に向かっていた。その感覚が新たな喜びで一気に上書きされた。ただ見つめていただけで、上原の息が上がっていく。  「蓮、見てるだけで、イきそうだね」  上原の身体が震える、耳から入る言葉さえ愛撫になるようだ。  「匠さん、ひとりにしないでください。お願いします」  今にも泣きそうな顔になってきた。もう少し、あともう少し見ていたい。俺が欲しいと懇願させて泣かせてみたい。  「匠さん?どうして意地悪するのですか?」  ああ、ゾクゾクする。  「見ててあげるから、自分で触ってみせてよ」  もっといろいろな表情が見たくて、つい意地悪を言ってみる。泣くかなと思った瞬間に身体を起こすと首筋に飛びついてきた。  「一人じゃ嫌です」  首筋に熱い息がかかる、手がシャツの中に入り込んでくる。そして耳朶を甘く噛まれた。上原の手が、ベルトにかかりジッパーが下げられた。  可愛い恋人に、されるがまま身体の力を抜いた。

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