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第121話 蓮

 くらくらする、気持ちがいい。  主任の腕の中に自分の身体が、ちょうど収まる。ジグゾーパズルのピースのようにぴたりとはまる。俺の身体は主任の身体に合わせて作られたみたいだ。  そして俺がいつも枕にする主任の腕。その少し張りのある硬さも俺のために作られたみたいに思える。  本当は対で、二人でひとつだったのに、間違えてばらばらに地上に落とされた。ようやくその相手をみつけたのだと思うと泣きたくなる。気持ちが高揚して泣きたくなることは、主任に出会うまではなかった。  急いで主任の服を剥がしていく。  直接その肌に触れたくて。自分の身体にまとわりつく木綿もまるで薄い膜のように感じて邪魔でしかたない。直接肌を合わせたい。  「蓮、エプロンは明日の朝よく見せてもらおうかな」  今着てたのはピンクのエプロンだったと思い出す。ほんの少しの布なのに邪魔だ、一刻も早く全身で主任を感じたい。体の外も奥にも。  すでに勃ち上がっている主任自身に口付ける。そしてゆっくりと口内へと誘い込んだ。  「蓮、今日はフルコースなのかな。ありがたいけれど、その位にして。どうしても蓮の中でイきたいんだ」  名前を何度も呼ばれて頭がクラクラする。  「俺も、きちんと匠さんが欲しいです」  主任がいつもの笑顔で笑う。それだけで嬉しくて、ずずんとお腹の中に何か落とされたみたいになる。

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