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第179話 蓮
気が付いたら時が過ぎていて、いつの間にか俺が会社に入って一年が経とうとしている。来月になれば社会人二年目、主任の恋人になってから半年が過ぎたことになる。相変わらず二人で暮らすことが認められているようで、時折二人で俺の実家へ行く。
生活の中でも自然と二人のルールやリズムが出来てきて、落ち着いた暖かい日々が続いている。
そして、今日は成田空港に主任の運転する車で来ている。
デートがてら、昔お世話になった家のお子さんを迎えに来た。そろそろかなと、出口を見ていたら、出てきた綺麗な金髪の男の人に抱きつかれた!
"Hi, Bro! We missed you a lot."
三月に一週間、実家で預かる予定の留学生だ。俺が留学していた時のホストブラザーで、小学生の可愛い小さい男の子だった……はずだけど。
「「ええっ?」」
俺と主任の声が重なった。
欧米の子は日本の子より大人っぽく見える、それでもあの時は小さくて、よく俺の膝の上に乗っていた。6歳下の……あれ?今はもう高校三年生だ。
こんなに大人っぽくなるものなの?
「ザック?」
"Yes!"
挨拶のキスってアメリカでは普通だけど、ザックはチュッと唇に軽くキスをした。唇ってのは普通じゃない!主任の顔色が変わった。
ザックは主任に気がついたようで、そちらに顔を向ける。
"Who the hell are you?"
結構失礼な物言いだ、日本語で言えば「お前一体誰だよ」レベル。ああ、主任怒ってる。この顔イラついた時の顔だ。
「こちらは匠さん。俺の……」
ザックに紹介しかけたところで、主任がグイッと俺の身体を引き寄せてザックに言った。
「Get your hands off!」
手を離せ!って、主任英語も喋れるんだ。やっぱり素敵、あ、そこじゃない!
なぜかこの2人今にも殴り合いそうな雰囲気、主任らしくない。相手は主任より10歳も下の子供だと言うのに。
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