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第191話 蓮

 狭いバスタブに重なるようにして入る。主任の脚を跨いで正面に向き合い、抱きあったまま何度も口づけをを繰り返す。  お湯が揺れて身体をくすぐる。  「匠さん、なんだかのぼせてしまいそうです」  「俺はとっくに、誰かにのぼせているよ。一体いつの間にこんなにイヤらしく、可愛くなったんだか」  「全部、匠さんのせいですから」  もうこれ以上ここに居るのは無理だと、言われてバスタブから引き上げられた。バスタオルで身体を巻き上げると、そのまま抱き抱え上げられる。    濡れた髪から、雫がぽたぽたと床に落ちる。  「匠さん、風邪ひいてしまいますよ」と言うと、普段から鍛えてるから問題ないと、訳の分からない理由で大丈夫だという。  「ああ、明日は会社だよな、朝まで放したくないけれど、今日はそこまでは無理だろうなあ。今は、蓮のご機嫌を伺い中ってところかな、どうしたい?蓮が欲しいように、やりたい様にしてあげる」  「あの……以上焦らさないでください。ただ、匠さんが欲しいだけです」  「承知ました」と笑われて、そのまま抱き抱えて寝室まで運ばれた。暖房の効いた室内は暖かい。ベッドにバスタオルごと降ろされた。  はらりとはだけ、ベッドのシーツの上に広がったバスタオルの上に自分の裸体があると思うと恥ずかしい。  「蓮、なんで急に照れてるの?さっきまで風呂場であれだけ俺の事を煽っていたくせに。本当、厭らしいんだか、純情なのだか。可愛いね、本当に俺好みだよ」  主任の手が一番敏感な部分を撫でるように擦っていく。  「ん……んっ」  自分の声がもっと強くと強請っているようにさえ聞こえる。恥ずかしさと同時に違う感覚がおきてくる。自分で自分を煽っている。  主任の指はいつもの通りの正確なリズムで身体の奥へと潜っていく。「あああぁ……」身体は指を飲み込みながら声が留めなく漏れ続ける。  体の中を自由に動くその動きに、自分から奥へと導くように自然と腰が揺れる。  「蓮、きつくない?もう少しいける?」  「だ、いじょうぶです」  ばらばらに動く指が内側から翻弄してくる、これ以上待つのが苦しくて呼吸が速くなる。  「匠さん、もう、大丈夫です……から」  早く埋めて欲しくて、足りなくて苦しくて待っているだけで呼吸さえ止まりそうだ。

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