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第195話 蓮
ああ、また横山がいる。どうして、ここに来るのだろう、そして主任に何の用なのだろう。総務の新入社員が仕事で営業の主任と直接関わる事ってあるのかな。
「あ、福田!お前がいなかったからさ、どこ行ってるのか田上主任に聞いてたとこだよ。昼メシ行かね?」
にこにことしながら福田に話しかける横山を見てほっとした。主任に用じゃ無くて福田に酔うがあったのかと。
「横山、お前早いんだよ。まだ五分あるだろう。お前、総務の仕事そんないい加減で平気なの?」
福田と横山は本当に仲良いんだなと思う。
「田上主任、先ほどの件ですが」
ん?え?先ほどって?福田の居場所を聞いてたんじゃ無いのだろうか。
「無理だから」
「それは残念です」と、笑いながら返す横山の横顔は本当に楽しそうだ。一体何の話だったのか気になって仕方ない。
「上原、書類は?」
主任は横山の存在を無視して、仕事をしている。
大丈夫、主任も言っていた何も無い。そう、関係ないはずだ。
「横山っ、だからお前、前も言ったろ。田上主任は違うって」
福田が横山に何か言ってる。主任は違う?何の話なんだろう、本当に関係ないのだろうか。
「でもさ、一目惚れなんだよね」
えっ?横山……今一体何を言ったんだ?聞き間違いじゃなければ「一目惚れ」と言っていた。
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