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第199話 蓮
いつもの朝が来た。いつもより少しだけ早く目覚めた朝。主任は普段と変わりない。なのに何だろうこのもやもやした気持ち。
自分が女々しくて嫌になる。昨日誰と、どこへ行ってたのとは聞けなかった。明日になればもっと聞き辛い。何も無いなら教えて欲しい。それとも何も無いから、何も言われないのだろうか?
いつまでもぐるぐると思考は同じところを回っている。
いつもの通り、いつもの通り。
そして、昼休みに頭痛の種がやってきた。
「福田ぁ、飯行こう」
「横山んところ緩いな。何でいつも昼休みの始まるちょうどの時間にはここにいるんだよ?」
新入社員が2人戯れているだけそれだけ。
「ねえ、上原くん知ってる?あの子」
山中さんが小声で横山を指差しながら声かけてきた。
「ちょっと有名なのよ。この間の新歓で、俺の好みは営業の田上さんです。応援お願いしますって言ったみたいで。今、ちょっとした話題になってるのよ」
ずくっと重たい音がした。実際に音はしてないけれど確かに聞こえた気がする。
「昨日さ、主任を食事に誘って2人で出かけたみたいだし。ねえ、主任ってもしかしてさあ」
「違うよ」
違うけど、違わないけど違う。指先が震えている。気持ち悪くて吐きそうだ。どうしよう、どこにもぶつけられない気持ち悪さがふつふつとわいてきた。
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