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第226話 匠
びくんと上原の身体が跳ねる。俺を感じている上原の姿は俺だけのもの。誰にもこの可愛すぎる姿をてるこの上原の姿を見せるなんてできない。
そして、絶対に独り立ちなんてさせてやらない。どろどろに甘えさせて、俺なしじゃ生きていけないくらい心を縛りたい。そんな事を俺が考えてると知ったら上原はどう思うのだろう。
「蓮、明日は車で会社まで行こうね、ちゃんと連れて行くから安心して」
「それって……そういう事ですよね」
一瞬だけ、考えたような顔をした上原は、柔らかく笑うと自分から俺の服のボタンを外し始めた。
「でも少しは眠らせてくださいね。出張帰りにリズの相手をしていたから、くたくたなんですから」
引き剥がされた服が床に落とされる。
「匠さんの服、皺になっちゃいますね、クリーニングに出さなきゃダメでしょうね」
そう言いながらも止める気はさらさら無いようだ。ここで放り出されても俺も困る。スーツをハンガーにかけるのさえ億劫で、少しでも早くと思うのは俺だけじゃないようだ。
互いを求める温度が一緒で安心する。何度確認しても不安なのは仕方ない。きっとどこまで行っても、上原を失うのではという不安からは解放されない気がしている。
「気持ち良いです……こうやって触れるのも触れてもらうのも」
「そうやって、伝えてくれると嬉しいよ、蓮。お前のその恰好いやらしくて可愛い格好だね」
少し上気した肌を晒して、なるべくしっかりと肌を重ねようとしている。その姿が愛しくてたまらない。そう伝えると、この恋人は少し顔を赤らめてちょっと肩をすくめた。
「匠さんだから仕方ないです」
そう言われて頭の芯がぐらりと揺れた。
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