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第241話 蓮

 少し冷たいくらいのシャワーで身体の熱を落ち着かせながら、主任の身体の隅々までを舌先で確かめる。  「ん、ふ」  頭の上から流れて落ちて、顔を伝って床に落ちる、そのシャワーの音が心地良い。狭い場所だと必然的に身体はより近くなる、この距離感が心地いい。鎖骨を甘噛みすると、主任の顔がかすかに歪んだ。  「蓮、お前はどうして欲しい?言ってごらんよ」  ああ、やっぱり主任は少し意地悪だ。主任の手をとって自分の身体に巻き付ける。  「参ったな。お前を焦らすはずが、焦らされてるよ」  そう言って主任は軽く笑った。その指先が背骨を伝い、背中の中央から下へ下へと辿っていく。  指先でくっと押されるだけで、ぞくぞくとした感覚が頭へと登ってきて、飲み込むように主任を受け入れるようと急ぐ自分の身体の変化に驚いた。  「蓮、感じてる顔してる」  それってどんな顔なのだろう、恥ずかしくて仕方なくなる。  けれどそれよりも、主任が欲しいという気持ちの方が馬話待っていて、主任の肩口に顔を埋めて強く口づける。主任の前に晒すことになった、首に音と立てて何度も口づけられる。  「蓮、壁に手をついて」  くるりと後ろを向かされ、腰を後ろに引かれた。  円を描くように動いていた指が中へと入ってくる。最初の頃は違和感でしかなかったはずが、いつの間にか熱を呼ぶ行為へと変わっていた。  準備の出来た身体は少しの抵抗をやり過ごすと主任を受け入れる。  強くなった刺激に「んっ」と、思わず声が漏れた。その声は流れるシャワーの音にかき消された。

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