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第264話 匠

 さて上原はどうするのだろうかと、見ていたらすっと頭を下げて脚の間に顔を埋めて来た。何の躊躇もなくだ。  いつの間にか、仔犬は色んな遊びを覚えたらしい。気持ち良さそうに口淫にふけっている上原の髪に手を差し込んで撫でてやる。  可愛い声がくぐもって聞こえる。  本当に支配欲をかき立てられる。上原への独占欲が、自分でもコントロールできなくなりつつある。  「蓮、上手になったね?練習でもしたの?」  そう言うと、顔を上げて睨んでくる「余計な事は言わないでください」と、答える。これだけの姿を晒しながら恥ずかしがるなんて……もう犯罪だろう。  「少し、虐めてやろうと思っていたのに。俺が虐められてる気分だなこれ。もういいから、こっちへおいで」  上原の身体を引き寄せると瞼に鼻の頭に耳にとキスを何度も落とした。少しくすぐったいのか、身を縮めて「んっ」と声をあげる。  「どうして欲しい?」  「匠さん、どうしてそんなことを言わせたいのですか?一番知っていますよね」  「さあ?言わなきゃ解らないよ。疲れてるから嫌だとか言われそうだしね」  「昨日までは仕事で手一杯だったの知ってるでしょう。大人気ありませんから」  「俺が一度でも大人気あった事あると思うの?蓮の前ではいつもギリギリだよ」  「……ちゃんと触って欲しいです」  「どこを?」  上原がだんだん赤くなる。それに呼応してしっかりと上原自身は自己主張し始めた。  「身体は素直なのにね」  軽く指でなぞるように両脚の間で勃ちあがったところを触ると泣きそうな顔になった。  可愛いのに滅茶苦茶にして縛っておきたくなる。鳥の羽をむしりとり、ここから飛び立てなくなるようにと。その自分の考えに怖くなる。  「言えないのなら自分でやってごらんよ。お前の好きなように」  そう言って上原の身体を自分の腹の上に跨らせた。

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