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第267話 蓮
主任のいい様に操られた気がする、お前がやりたいようにと言われて、気がつくと主任の思い通りになっている気がする。
あれから何度も、愛されて何回か天国と地獄を往復させられて、気がつけば何時間も経っている。
もうすっかり声も掠れているし、本当に勘弁してほしい。
「も、も…むりです……」
音を上げると、主任が「俺もそろそろ限界かな」と、笑った。このままずっと抱き合って、一つになったまま朝を迎えたいなと言われて驚いて「えっ?」と大きな声が出た。
「匠さん……、それはさすがに……」
くしゃくしゃと頭を撫でられて、風呂の準備してくるから待ってろと立ち上がって行った。散々抱き合った後なのに、離れるのが寂しくて手を伸ばすと額に軽く口づけられた。
「蓮、すぐに戻るから。いい子だから、そんな顔をしないで」
自分がこんなに誰かに甘える事があるなんて、想像した事もなかった。
「はい、これ」
炭酸水を渡されて、これも主任は飲まないのに、いつも買い足してあると嬉しくなる。
「なんだかご飯食べ終えた後の仔犬みたいだな。気持ち良さそうに満足してる顔だ」
えっ?俺、どんな顔してんの。
あんまり指摘しないで欲しいんだけどと心の中で答えた。
「蓮は、すぐに赤くなるのな、さっきまであんなに乱れてたのに」
慌ててシーツを引き上げて潜り込んだ。くっくっと、主任の笑い声が聞こえた。
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