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第295話 蓮
あれ……ここは…どこだろう?
ここは、どこだ真っ暗で何も見えない。
どういしたんだろう、体が動かない。
痛い……何が起きたのだろう。
目が……あかない。
……意識が……薄く…。
「……れ……ん」
遠くで何かが聞こえる。誰かがぼんやりと見える。
「れん!」
あ……誰かの声がする。身体が動かせない。
返事しなきゃいけない、けれど声がでない。俺はどうしたんだろう。
「れん…れ…ん」
誰の声だろう、何故俺を呼んでいるんだろう。眠い、ほっといてくれ。
ずきっと足に痛みが走った、なんだこれ。
目をゆっくりと開けた。
見えたのは白い天井と、上から覗き込む泣きそうな母親。
「母さん、どうしたの?」
何で母親がここで泣いているんだ?
「看護師さん!先生を呼んでください」
母親の叫ぶような声がした。
また眠たくなって目を閉じた。
次に目覚めた時は、たくさんの人が覗き込んでいた。
「初めまして、担当医の遠藤です」
「はい?初め……まして」
「気が付いてよかったね。心配していたよみんな、まず幾つか質問させてくださいね。あなたのお名前と年齢を教えて下さい」
「え?上原蓮…じ、19歳です」
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