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第330話 蓮

 「はんっ……」  自分の声か疑いたくなるような甘い声が出た、胸を触られて感じている自分が恥ずかしかった。  「可愛い」  そう言われて顔から火が出るほど恥ずかしい。そう言うと胸の突起を優しく口に含まれた。ずんと腹の奥底に何かが落ちるような感覚がする。  「や……それ…やです」  自分が感じているのが恥ずかしい、声が震えているのはもっと恥ずかしい。  「蓮、嫌じゃないでしょう?これは気持ち良いって言うんだよ」  するりとチノパンが下げられ取り払われる。どうしてこんなに器用に引き剥がされていくのか不思議に思う。  田上さんはまだ何も脱いでいないのにいつの間にか俺は一糸纏わぬ姿になっている。  「で、電気を……」  「駄目だ、全部見せて。蓮が感じてるところ」  「でも……」  反論しようとした時に、田上さんが自分の服を脱ぎ捨てた。ぎゅっとお腹がねじれるような感覚になる。  そっとその肌に手を伸ばすと、指先で触れる。触れたところから、びりびりと電気が走るような感覚があった。  膝を割るようにして左右に脚を開かれた。その間に身体を滑り込ませた田上さんが身体の稜線を辿るように手を滑らせる。  与えられた刺激に身体が震える、自分でも心拍数が上がっているのがわかる。もっと奥まで触ってほしい。直接的な刺激にを求めて身体がざわめいている。  コトンと音がして何かがベッドの脇に置かれた。そのボトルの中身を田上さんが手にとっている。  「少し冷たいかな」  そう言うと滑りを纏った手が一番敏感なところを包み込んだ。身体が逃げるように引けた。  「蓮、怖くない。お前の身体なら誰より知っている、良い子だからじっとしてて」  諫められて、叱られた子供のような気持ちになった。その後に優しく降ってきた口づけに、泣きたいような感覚を覚えた。何だろうこの高揚感、そして感じたことのないこの渇望感は。

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