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第331話 匠

 多分もう大丈夫だろう、上原の身体からは緊張がなくなってきた。  「どうして……匠さん、俺ばかり、あぁ、ん、うっ、や……だ」  手で規則的に追い上げてやると「はあはあ」と、息が上がってくる。少し上気している顔がたまらない。  「蓮、そのまま感じていて」  「駄目です、だ、イっちゃ……匠さん、あっ」  胸を張るように上原の身体が反り返った。  「蓮、イっていいよ、大丈夫だから」  ぐっと上原の身体に力が入り俺の手の中で上原が果てた。上原は肩で息をしながらも左腕を顔の上にかぶせて顔を隠そうとする。この後に及んで恥ずかしがるのが、上原らしくて良い。  「顔を見せて、蓮」  ああ、この人少し焦点の合わない目、何でこんなに色っぽく艶めくのか。  「ここからが本番なんだけど、身体の力抜いててくれる?」  そう言うと上原の身体が少し緊張で強張った。上原自身の滑りも借りて、後ろの方へと伝せる。奥の蕾にそっと触れるとピクンと身体が跳ねた。  ゆっくりと弧を描くように指先を動かす。  「蓮、少し大きく息を吐いてくれるか」  呼吸を合わせて誘導してやるふうっと、息を吐き終わるタイミングを見計らってぐっと中へと指を進めた。  一瞬、上原の眉根が寄る。少しの抵抗をやり過ごしてさらに奥へと進む。  「このまま俺と呼吸のタイミングを合わせててごらん、そう上手だ」  中の一番感じるところを探る。この辺りと指先をお腹の方へと曲げると、上原がびくびくと震えた。  「あ、何これ……なにか変…です」  上原の中は熱い、内側が吸い付くように蠢いている。  「どうしよう……んっ、匠さん、いや……あ」  内壁を擦るように指を動かす、力が抜けたタイミングを見計らって指の数を増やす。溶け始めた上原は抵抗なく二本目の指を受け入れた。浮き上がる腰の下に枕を置きバスタオルを差し込んだ、左右に開かれた膝は閉じる事もない。  少し開いた口から漏れてくる声にたまらなくなる、口を塞ぐと足りなくなった酸素を俺の中に求めるようにさらに深く口付けてくる。こいつとはやっぱり身体の相性も良い。  三本に増やした指で丁寧に中を解してやる、そろそろいけるかと指をずるりと抜き去ると。「あ」と声を出した上原が寂しそうな目をした。

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