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無罪 《早苗》
お昼休みの時間になった。
「で、あいつと何話してたんだ?」
「何でもないよ」
「何でもないなら話せるだろ」
「もー、柳くんしつこいよ」
「おめぇが頑固なんだ」
柳くんはほんとにほんとにしつこい。
朝からずっと休み時間になるとこの質問ばかり。
そんなたいしたことじゃないのに。
なんだか、警察に尋問されてるみたい。
「僕は無罪です」
「はぁ?」
「なんか警察に尋問されてるみたいだなぁって」
「あぁ、そういうことな。吐いたら楽になるぞ?」
「黙秘権!」
「これはクロだな」
「うー、冤罪だよ! 」
「素直に話さねーおめぇが悪い」
「別にただちょっと柳くんのこと話してただけ……あ!」
とうとう口が滑ってしまった。
「俺のこと話してたのか?」
「いや、その……どうだったかなぁ」
「ふーん」
どうしたんだろう。
柳くんのこと話してちゃダメだった?
柳くんは少し難しい顔をして、それからにこっと笑った。
「まー、これでお咎めなしだな」
「うん!」
「よしよし、飯にするか。豆腐ハンバーグ多めに持ってきたからやるよ」
「ほんとに? やったー!」
少し複雑な気持ちが残ったけど柳くんは気にしてないみたい。
なら僕もそんなに気にしなくて大丈夫かな?
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