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ちょっと話 《剣介》
昼飯を終えた。
「おいしくって食べ過ぎちゃったよ」
「そりゃあよかった」
豆腐ハンバーグは好評だった。
にこにことしている早苗を見ていると嬉しくなる。
「かっしー、チョコあげるー!」
ふと榎本がやってきた。
「あ、ありがとう」
「柳くんも食べる?」
榎本は俺にもそれを差し出してきた。
「お、おう、わりぃな。なぁ、榎本」
「なぁに?」
「ちょっと話あんだけどいいか?」
チョコを受け取りそう切り出すと、不思議そうな顔で早苗と榎本が俺を見た。
「いいよ、なになに? 大外刈について?」
「ちげーわ。場所移すべ」
「はーい」
席を立ち、早苗を見る。
にこっと笑ってくれたがその顔はどこか暗い。
胸が痛むけど仕方ない。
これも、早苗と一緒にいるためだ。
「んじゃ、ちといってくるわ」
「うん、いってらっしゃい」
俺もうまく笑えないまま、榎本と屋上へ向かった。
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