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どうしよう 《早苗》

その人が桜井くんが『愛してる』人だって、すぐにわかった。 ちょっと気が強くて、美人で、優しい子。 桜井くんが愛しそうに見つめている子。 「携帯また忘れてたぞ」 「ありがとー、涼香ちゃん」 「別に……」 とても綺麗な男の子だった。 涼香くんは一年の頃から美人だって有名で、名前は知っている人だった。 ちょっと驚いたけど、確かに桜井くんと涼香くんはお似合いで好きあってるのがよくわかった。 どちらもお互いを映すとその目がきらきらと輝いて、優しく細められて……。 あぁ、好きってこんなにもしあわせそうなんだ。 ねぇ、柳くんは? 柳くんはどんな風に僕をみていたっけ。 僕はどんな顔で彼を見つめていたっけ。 柳くんを見つめると彼も見つめ返してくれた。 一重で切れ長の目。 ちょっと怖いけど優しくて大好きなんだよ。 狼みたいに鋭いその目はいつだって僕をどきどきさせるんだ。 見とれているとふいに視線が外れ大きな手が伸びてきた。 こつんと頭を叩かれて、困ったように柳くんが笑った。 「どうした?」 「ううん、なんでもないよ」 あわてて僕も笑顔で返す。 やっぱり僕は柳くんが好きだ。 それはきっと友達以上の好き。 ねぇ柳くん、どうしよう。

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