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嫉妬2 《早苗》
「涼香ちゃんが世界一可愛いと思ってるけど、かっしーも可愛いよね」
恥ずかしくてうつむいているとそんなことを言われた。
思わず顔をあげると桜井くんはにこにこ笑っている。
「可愛いなんて、そんなことないよ」
「えー、めっちゃかわいいよ?」
「男らしくないとか、女の子みたいなら言われるけど…」
「顔立ちが中性的だもんねー。涼香ちゃんもちっちゃい時、女の子に間違えられるくらい可愛いかったんだって」
「涼香くん、すごくきれいだもんねー」
「そうなんだよー、やっぱ天使だよな」
「えぇっ、天使なの?」
「そう、天から舞い降りたmy angel」
「わぁ、ネイティブな発音だね!」
「つっこむところちげぇだろ!」
「わっ! びっくりした、柳くんいつのまに」
ついつい桜井くんとの会話に花を咲かせていたからか、柳くんが来たことに気づかなかった。
見上げると柳くんはちょっとむっとした表情。
「かっしーと仲良くしてたからってすねんなよー」
「誰が拗ねるか。おら、邪魔だ桜井」
僕の目の前の席から桜井くんが立ち上がり、入れ替わりで柳くんが座った。
やっぱりちょっと不機嫌な感じだ。
「柳くんなんか怒ってる?」
「別に怒ってねーよ」
そうは言ってるけど明らかに声とかしゃべり方とか怒ってる感じ。
「柳ってけっこー嫉妬深いんだな、意外」
「あぁ? 誰が嫉妬なんか」
「なんで嫉妬してるの?」
「そりゃあほら、好きな子が他の子と話してたらさ」
桜井くんが楽しげに言った。
好きな子が他の子と話してる……。
僕が桜井くんと話してたから?
それって、つまり……。
「おい、変なこと言うなよ!」
「事実じゃないの? てか」
柳くんが僕のことを……?
そうだとしたらうれしいな、なんて。
ちょっとだけ照れてしまって顔が熱くなった。
ちらっと柳くんをみると、なんだか柳くんも少し顔が赤い気がした。
「おまえらほんとにそういう関係なのな」
楽しげに桜井くんは笑って、自分の席へ戻っていった。
「ったく、適当なこと」
そう言った柳くんを見つめると、顔の赤みが増し、ちらっと僕をみてすぐに前を向いてしまった。
違うって言っているけど、この反応は……。
ちょっと嬉しくなって、目の前の柳くんの背中を見つめながら顔がにやけるのを抑えられなかった。
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