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一番2 《早苗》
購買の前まできた。
ちょっと離れたところで僕は待機。
昼休みが始まったばかりの時間帯なのもあって、混んでいてちょっと居心地が悪い。
端で壁にもたれながら柳くんを見て、気を紛らわせた。
一人だけ背が高くて、人混みの中でもすぐに見つけられるんだよね。
何を買おうかと悩んでるらしくきょろきょろしている。
柳くんって意外と優柔不断。
ふと隣の人に話しかけられたらしく、柳くんは左下を見下ろした。
こっちからだと人に隠れて誰かはわからなかった。
その人に耳を傾け顔を近づける仕草がなんとなく、僕の胸をもやもやとさせた。
人が移動して、柳くんの隣にいる人が見えた。
頭一つ分くらい柳くんより小さい女子生徒。
「ーーだから、あれだってば」
「んだよ、てめぇでとれよ」
「てめぇじゃなくて秋良! いいじゃん手届かないんだから!」
話し声が聞こえてきて、秋良ちゃんだってはっきりわかった。
やけに仲良さげに見えて、ちょっとだけ嫌な気分になる。
仲がいい女の子はいないって言ってたけど、秋良ちゃんとはなんか楽しそうに話してる気がする。
「ったく。これか?」
「ちがうちがう、その隣のメロンパン!」
「ほらよ」
「ありがとー、柳くん。意外といい人だね?」
「んだよ、意外って。失礼な奴」
話し声が聞こえてきて、もやもやが胸いっぱいに広がった。
僕だけに優しくしてくれればいいのにな、なんて。
嫌な人になってるよね。
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