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恋人 《早苗》
いつまででも一緒にいたい。
今までもそうだったかもしれないけど、恋人という関係になったら、その気持ちは一層膨らんだ。
「ね、柳くん……?」
ぎゅっと繋がれた手を握ってみても、隣に座る彼は動かない。
寝てる。
肩に寄せられた顔が近くて、寝息が聞こえていた。
なんか、耳にかかってくすぐったい。
今日、僕は告白をしてしまった。
人生で初めてで、どきどきしっぱなしだった。
柳くんはずっと僕が好きだったと言った。
伝えたらいけないと我慢してきたって。
嬉しいけど、ちょっと申し訳なかった。
いつだって柳くんは優しくて、鈍い僕と一緒にいるのは多分苦しかったはずだ。
「もう、我慢しなくていいからね……」
気持ちよさそうに眠る柳くんにそっと言ってみる。
寄せる肩の温もりが心地いい。
ちょっとだけ、重いけど。
「さな、え……」
耳元でそんな声がした。
柳くんも寝言言うんだなぁ。
というか、僕の名前……。
夢の中でも僕に会ってるのかなー、なんて思って嬉しくなった。
いつもより距離が近いのはくすぐったいけど、とっても幸せだった。
幸せな気持ちのまま、いつの間にか僕も眠ってしまっていた。
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