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テスト終わりに1 《龍太郎》

涼香ちゃんと秋良とハンバーガーを食べにきた。 テスト終わりのちょっとしたご褒美。 「私は、てりやきにしよっかなー」 秋良が先に注文しにいく。 「涼香ちゃんは、なににする?」 隣の彼に聞いてみるが、その顔は強ばっている。 いいとこのお坊ちゃんの彼は、ファストフードはまだ数回しか来たことないらしいから無理もない。 その数回も俺が連れてきてるんだけどねー。 「……お前は?」 案の定、いつものフレーズ。 意地悪したい気持ちもあるけど、そこは我慢。 「俺はねー、チーズバーガーにしよっかな」 「じゃあ俺も同じのでいい」 「うん、まとめて頼んじゃうよー」 同じのでいいって、ちょっと頼られてる感じがして嬉しい。 なんでも出来る涼香ちゃんだから、こういうときしか頼ってもらう機会もないのだけど。 「値段いくらだ」 「いいよ、まとめて払うから後で」 「そう言って、この間も奢られた」 「いいなー。龍太郎、私も奢ってよ!」 「秋良はもう支払い済んだでしょ。ほら、注文するから」 自分でもわかってるけど、ちょっとだけかっこつけてる。 涼香ちゃんにはかっこいいって思われたくて。 二人分、注文して支払いもした。 ぎゅっと服の裾を掴まれた。 あぁ、涼香ちゃん、今絶対不満そうな顔してるなー。 わかるけど、そっと手をつないで気づかないふり。 「ねぇねぇ、数学の問1って答え21だった?」 「ん……あぁ。俺も21だった」 「やった、涼香くんと一緒なら間違いないねっ」 秋良に話しかけられると、涼香ちゃんはすぐに手を離す。 秋良にはもう関係もバレているのに、いちいち恥ずかしがるとこもほんとに可愛い。

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