41 / 127

テスト終わりに4 《涼香》

親しくない人がいる空間は嫌でも緊張してしまう。 樺島に松谷、さん。 悪い人でないのはわかるのだが、幼馴染だからと龍太郎にべたべたしてたり、モデルがどうとか言ってくる樺島は苦手だった。 「りゅう、涼香さんの写真ないのー?」 「私も見たい!」 「あるけど見せないよー」 幼馴染らしい三人は仲がいい。 確かにこう、神経が図太い感じは似ていると思う。 結局、樺島と松谷さんも同じテーブルにつくことになった。 俺と秋良が座る向かい側に龍太郎と樺島、松谷さんが座った。 「確かに、綺麗だよな」 目の前に座る松谷さんは、そう言って頷く。 癖でついつい睨んでから、やってしまったと気づく。 一応年上なのだから、こういう態度は良くなかったかもしれない。 「涼香ちゃん照れ屋さんだから、そういうこと言われると困っちゃうんですよ。ね?」 龍太郎はまたそんなことを言って、同意を求めてくる。 嫌だから睨むだけで、照れているとかそういうわけではない。 「ツンデレってやつか?」 松谷さんが穏やかに言うと、龍太郎は声を出して笑う。 「うん、涼香ちゃんツンデレだね」 「龍太郎にはデレデレだもんねぇ?」 納得したような龍太郎。 秋良までにやにやしはじめる。 ツンデレの意味はいまいちわからなかったが、いつ俺が龍太郎にデレデレなんてしたんだろうか。 「涼香さんは表情がやばいね、描きたくなってくる」 樺島までこちらをみてくる。 一斉に視線を浴びせられたまらなくなる。 居心地悪すぎ。 顔が熱くなってきて、咳払いをして席を立つ。 「涼香ちゃん?」 「トイレ」 そう言い残して、テーブルを離れた。

ともだちにシェアしよう!