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テスト終わりに4 《涼香》
親しくない人がいる空間は嫌でも緊張してしまう。
樺島に松谷、さん。
悪い人でないのはわかるのだが、幼馴染だからと龍太郎にべたべたしてたり、モデルがどうとか言ってくる樺島は苦手だった。
「りゅう、涼香さんの写真ないのー?」
「私も見たい!」
「あるけど見せないよー」
幼馴染らしい三人は仲がいい。
確かにこう、神経が図太い感じは似ていると思う。
結局、樺島と松谷さんも同じテーブルにつくことになった。
俺と秋良が座る向かい側に龍太郎と樺島、松谷さんが座った。
「確かに、綺麗だよな」
目の前に座る松谷さんは、そう言って頷く。
癖でついつい睨んでから、やってしまったと気づく。
一応年上なのだから、こういう態度は良くなかったかもしれない。
「涼香ちゃん照れ屋さんだから、そういうこと言われると困っちゃうんですよ。ね?」
龍太郎はまたそんなことを言って、同意を求めてくる。
嫌だから睨むだけで、照れているとかそういうわけではない。
「ツンデレってやつか?」
松谷さんが穏やかに言うと、龍太郎は声を出して笑う。
「うん、涼香ちゃんツンデレだね」
「龍太郎にはデレデレだもんねぇ?」
納得したような龍太郎。
秋良までにやにやしはじめる。
ツンデレの意味はいまいちわからなかったが、いつ俺が龍太郎にデレデレなんてしたんだろうか。
「涼香さんは表情がやばいね、描きたくなってくる」
樺島までこちらをみてくる。
一斉に視線を浴びせられたまらなくなる。
居心地悪すぎ。
顔が熱くなってきて、咳払いをして席を立つ。
「涼香ちゃん?」
「トイレ」
そう言い残して、テーブルを離れた。
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