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アイス 《剣介》
スーパーで牛乳と肉なんかをカゴにいれて、アイスコーナーに向かう。
「あ、これ美味しそう。キャラメルだって」
「うまそうだな」
もちでアイスが包まれてるやつのキャラメル味。
見たこと無いし新作だろうか。
「濃厚チョコか」
「これも、美味しそうだねぇ」
平たいモナカの中身が濃厚チョコアイス。
たまに食べるとうまいんだよな、モナカのも。
「うーん、迷うな」
「ねっ、迷うね」
優柔不断でこういうの即決できない。
新しいのを試したい気持ちもあるが、いつものやつを食べたい気もする。
「これ柳くんいつも食べてるよねー」
コーン付きのアイスで、食べ応えがあるから好き。
俺の好みを知ってることが嬉しかった。
「おめぇはこれだろ?」
チョココーヒー味のチューブ型のアイス。
夏場に一緒に食べたなぁ、なんて思い返した。
「よく憶えてるねぇ。嬉しい。んー、けど今日はこれがいいや」
早苗はにこにこしながら、もちのやつを持ってくる。
「あぁ、お袋のもそれにするかな」
「じゃあもう一個ね!」
甘いものの前だとテンションあがるとこが可愛い。
カゴにいれるように示すと、ありがとうと律儀に言ってそこにいれた。
あまり悩んでるのも悪いから、結局俺も最初に目に入ったモナカのにした。
それから下の弟にはソーダ味のアイス、上の弟にはチョコミントのカップアイスと、それぞれいつも食べてるのを買うことにした。
二人で買い物するのも、もう何度目かわからない。
くだらないことを話しながら笑えるのが幸せだった。
「お兄ちゃん?」
レジに向かおうとしたとき、ふと女の子の声がした。
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