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計画 《早苗》

ある程度、晩御飯が出来たのか送っていくと柳くんが言った。 なんだかんだ家に帰るのは七時くらいになりそうだった。 「じゃあお邪魔しましたー。またね、しゅんくん、あおくん」 「早苗さんばいばい。こ、小春さんも、ま……またね!」 「うん、碧くんまたね」 あおくんはすっかり小春になついていた。 小春もちっちゃい子が好きだから嬉しそうだ。 外に出ると空気が冷たくて、冬なんだなと身に染みて感じた。 柳くんと小春と僕と三人で歩いた。 寒いねなどと話して歩きながら、頭では柳くんへのプレゼントを何にしようかとずっと考えていた。 いつも通りデパートをぶらぶらしながら考えようかな。 明日は土曜日だし、じっくり見ていいのを見つけたい。 ちらっと隣を歩く柳くんを見ながら、喜んでくれたらいいなと思う。 「な、早苗」 「なぁに、柳くん?」 「明日休みだし、どっかでかけるか?」 明日、か。 柳くんとお出かけしたい気持ちもあったが、今はプレゼントを買いに行きかった。 誕生日は年に一度しか無いわけだし。 それに柳くんにバレちゃったらせっかくのサプライズが台無しだ。 気をつけないといつの間にか話しちゃうかもしれないし。 「ごめん、明日はえっと、用事があって……」 「あぁ……そうだよな。いきなりわりぃ」 柳くんはにこっと笑顔で返してくれるけど、どこか寂しそうだった。 胸がちくっとして罪悪感が残る。 本当はいっしょにいたいけれど誕生日に喜んでもらうためなんだと、自分に言い聞かせた。

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