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なんで 《剣介》

月曜日。 返ってきたテストの結果はまあまあ。 いつもより少し出来のいい教科もあった。 「な、どうだった、テスト?」 後ろの席の早苗を見ると、疲れ気味で顔色も悪い。 そして俺の声に反応しない。 「おい、早苗」 「あ、ごめん。なんだっけ……」 ぼーっとしてる早苗の額に手を当てると、少し熱いような気もした。 テスト期間ですら寝不足とは関係ない奴なのにどうしたんだろうか? 「どーしたんだよ。熱あんじゃねぇの?」 「そ、そうかな。全然平気だよ!」 「寝不足だろ?」 「いや、別に……そう言うわけでも」 気まずそうに笑うから、すぐわかる。 寝不足なのも体調悪いのも。 「んだよ、そんな遅くまで何してたんだよ」 「え? なにも、してないっていうか……そう、テレビみてたら遅くなっちゃって!」 「テレビそんな見ねぇじゃん、お前」 何をそんなに隠すことがあるんだろうか。 ちょっとイライラしてきた。 「何してたんだよ」 「……柳くんには関係ないから。その、もうお話終わり!」 早苗は俺の目も見ないで言って顔を伏せる。 あぁ、何それ。 結構傷付いた。 冷静になって俺のこと嫌になったか? 男同士だし、俺は女みてぇに可愛くもないし。 けど、好きだと言ったあのときの早苗が、嘘を言ってるようにも思えない。 帰り際だって寂しげにしてた。 ぐるぐる考えてもわけがわからなくなるばかりだった。 今日も幸せな日になると思ったのに、なんで……。 結局もやもやして気まずいままその日は過ぎた。

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