71 / 127
アドバイス 《早苗》
「柳さんってさ、お菓子もつくれるの?」
小春が野菜を切りながら聞いてくる。
「どうだろう。パンケーキなら作ってくれたことあるよ」
「ふーん。パンケーキかぁ」
この間から小春は柳くんのこと気になるみたい。
時々こうして質問してくる。
「なんか手伝う?」
「じゃあ、お湯沸かして」
手を動かしてないと色々考えてしまって、悲しくなってくる。
鍋に水を入れてコンロにかけて、そしたらまたする事もなくなった。
ぼーっと眺めながら小さくため息をつく。
「……電話でもしたら? そんな気になるならさ」
「電話?」
「うん、柳さんに。その濡れた子犬みたいな顔どうにかしてきたら」
「濡れた子犬の顔って?」
「寂しそうな顔ってこと。いいから、さっさとかけてきてよ。隣でうじうじされると気が散るの」
小春に押されてキッチンから出された。
電話、電話かぁ。
直接顔を見なくていいから少しは話しやすい気はした。
お菓子作ってたって話して、冷たくしたこと謝ろう……。
自分の部屋に入ると、ベッドに腰掛けてスマホをみる。
このまま気まずいのは嫌だし、早めに謝った方がいいって秋良ちゃんも言っていた。
よし、かけてみよう。
ともだちにシェアしよう!