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11月24日-1 《剣介》

俺の朝は早い。 だけど今日はお袋が休みだから多少のんびりできた。 弁当を詰めるのを手伝って、着替えて、弟達を起こして飯を食う。 なんとなく今日は仏壇に手を合わせた。 笑顔の親父の写真。 顔を見ると寂しさも無いわけでもないが、安心する。 強面で口も悪い人だけれど大好きだった。 だから、親父に似てきたなって言われるのも少しうれしかったりするわけで。 「剣介、今日も部活あるんだよね?」 「ん? あぁ」 お袋が台所から声をかけてくる。 食器を片した後もまだ台所で何か作っていた。 今日、なんかあっただろうか? 特に思い当たる節もない。 「ほらお弁当忘れないで」 「おう……」 やけににたにたと笑うお袋。 不気味だ。 「いってくる」 「いってらっしゃ~い。気をつけてね」 朝っぱらから上機嫌に見送られる。 何かやらかしただろうか……。 不安なまま学校へと向かった。

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