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喧嘩1 《龍太郎》
この間の土曜日のことだった。
涼香ちゃんと買い物をしてかっしーに会った後。
のんびりと歩いて駅まできた。
土曜日だけど人はまばら。
こんな日もあるよね。
次の電車まではまだ時間があるからベンチに腰掛けて待つことにした。
「涼香ちゃん、腰へーき?」
「平気だよ」
隣りに座る彼に声を掛けると少し照れてそっぽを向く。
テストが終わって、やっと昨日お預けだったエッチができた。
いつもは強がりで素っ気ない涼香ちゃんだけど、ベッドの上では割りと素直になっちゃうところが可愛い。
疲れて寝ちゃって結局泊まって行ってくれたし、昨日はいい日だった。
うん、朝にはもうツンツンしてる涼香ちゃんだったけど。
腰痛い、怠いって言いながらも折角だし買い物行こうなんて誘ってくれたのも嬉しかった。
涼香ちゃんを見つめながら、どうしてもにやけてしまう。
「なんだよ」
「いや、涼香ちゃん最高だなって」
「は? 意味分かんない」
「最高に可愛くて最高に愛しいなってこと」
「……恥ずかしいやつ」
「心の底から思ってるんだよ?」
「そうですか。まだ、時間あるよな」
「うん、あるよー?」
「ちょっと行ってくる」
「どこに? 一緒に行くよ」
「いい! その、一人でいいから」
疲れてるのにどうしたんだろう。
不思議に思うけど声をかけるより先に涼香ちゃんは駅ビルの方へ向かって行ってしまった。
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