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無自覚 《涼香》

シャワーの湯気で浴室が霞む。 「すーずかちゃん」 恥ずかしくて俯いていると、そう名前を呼ばれた。 頬を撫でられて顔を上げたら優しくキスされる。 「もう、きつそうだね」 「っ……んぅ……」 龍太郎の指が触れ、硬くなったそこを刺激してくる。 散々焦らされて敏感になってるせいか、それだけで声が出そうになる。 「声、我慢しないで」 「ふ……で、も」 「響くから恥ずかしい?」 頷くと龍太郎は微笑む。 そして、握るようにして上下に扱いてきた。 さっきよりも強い刺激で、嫌でも声がでそうになり、恥ずかしくて口元を抑える。 「必死に我慢してるの、可愛いね」 龍太郎は、耳元でそんなことを囁いてくる。 こんなことでさえ可愛いなんて、ほんとばか……。 龍太郎の一言で、声を我慢するのさえも恥ずかしくなってしまう。 そうして、どうすることも出来ずにいると、龍太郎は膝をついて張りつめたそこに口を付けようとしてきた。 「だめ、っ……汚いか、ら」 「汚くないよ?」 「ばか……あ、んっ」 止めるのも聞かず、舐めてくる。 そんなとこ汚くないわけないのに。 なんの躊躇いもなく咥えてくるし……。 あったかくて、舌の動きがくすぐったい。 ……なんだか今日は舐められてばっかりだ。 立ってるのもやっとで龍太郎の肩に掴まる。 前屈みになって、舐められてるとこが視界に入る。 目のやり場に困って視線をさまよわせると、ふと龍太郎の赤くなった耳が目に入った。 余裕そうに笑ってたのに。 これでも照れてんのかな……? 可愛く思えてそこに触れると、龍太郎は見上げてきた。 そしてじっと俺の顔を見てくる。 「……その笑い方、だめ」 「え?」 「可愛いすぎる」 龍太郎に言われて笑っていたのだと気付いた。 だけど、なんだってそんな拗ねた風に言うんだろう。 俺の混乱もよそに龍太郎は当てつけがましく言う。 「そんな顔されたら、我慢できなくなるじゃん……」

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