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夢見の悪い日に4 《龍太郎》
涼香ちゃんは、完全には俺を拒絶しない。
勿論、言葉では突き放すようなことを言うんだけれど、その表情はどこか嬉しそうにもとれる。
だから、期待してしまっている。
「今日は何読むの?」
図書室に着くと彼は本を探して、俺はそんな涼香ちゃんの後をついていった。
「何でもいいだろ」
「あ、これ、この作家さんの前読んでたよね?」
「……だったらなんだよ」
「俺もわりと好きだよ」
涼香ちゃんは意外そうに俺を見て、そうかと小さく呟いた。
「本読むんだこいつって思ったでしょー」
「……別に」
「ふふ、これでも本屋の息子だから、ちょっとは読んでるんだよ?」
彼は少し驚いたような顔をする。
俺って全然本屋っぽくない顔だものね。
「まぁ、ほんとにちょっと読むだけなんだけどね」
「そっか」
微妙な表情の変化とか、素っ気なくても相槌を打ってくれるとことか、それだけで嬉しい。
少しは受け入れてもらえてるのかなって思える。
「見られてると、気が散る」
「そうだよねー。じゃあ、俺も本探そうっと」
図書室の奥の窓側の席。
いつもそこに涼香ちゃんは座る。
真剣な表情で、何となく寂しそうに本を読んでいる。
その光景を切り取って、いつまでも眺めていたいくらいきれいだ。
本を探してるふりをしながら彼を盗み見た。
いつもの席でページをめくる涼香ちゃんは、寝不足だからかどこか隙があるようにも思えた。
結局ざっと本を見て回ったが、何も手に取らないまま涼香ちゃんのもとに戻った。
「あれ……」
頬杖をつく涼香ちゃんは、穏やかに寝息をたてていた。
音をたてないように椅子を引いて向かいの席に腰を下ろした。
いつになくリラックスしている彼の、油断やら隙だらけの姿についつい見とれてしまった。
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