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プールと未遂8 《龍太郎》

蒸し暑い更衣室に二人、また残されてしまった。 何台か置かれているベンチのひとつに座り、言われた通り着替えようかと鞄からジャージを取り出す。 「あいつら気、遣いすぎだよねぇ」 とは言ってみるものの嬉しい。 こうして涼香ちゃんといられるの。 「気って、別にそういうつもりじゃないだろ。……多分」 「なぁに? 意識しちゃう?」 「はぁ? 自意識過剰なんだよ」 「あはは、かわいいなぁ」 「ふん」 からかってみると、涼香ちゃんは顔をそむけて顔を赤らめる。 あぁ、これも俺だけに見せる顔なのかな? って思って、顔がにやけた。 涼香ちゃんは小さくため息をついて立ち上がると、おもむろに服を脱ぎだす。 そりゃまぁ、ジャージに着替えるんだから脱ぐだろうけど。 わかってはいても、淡い青のサマーニットを脱いで半袖のYシャツのボタンをはずし始めたあたりから、ドキドキしてきてしまった。 だんだんとシャツの隙間からは素肌が覗いた。 タンクトップもTシャツもなし。 いや、ニットを着てるから透けても平気なのはわかるけども、もっとガードが堅いイメージがあったから、意外だった。 いやまぁ、なんに対するガードって話だけども。 というかこれ、見たらダメだよね? でも男同士だし、それはそれで変だし。 ぐるぐる考えてる間にさらっと涼香ちゃんはシャツを脱ぎ捨てた。

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