153 / 165
プールと未遂9 《龍太郎》
露わになった肌は白くて、肉付きの薄い身体は想像していたよりも細い。
若干肋骨の浮き出た脇腹や、それでいて筋肉質でない柔らかそうな腹部、こちらに身体を向けるから少しばかりくびれのあるのもわかった。
「おい、ジロジロみるなって……。着替えづらい」
「や、だって、涼香ちゃんがいきなり脱ぎだすから……」
「は? 男同士だし……って、お前もしかして、男の体でもその……あれ、なのか?」
「……うん」
頷くと、涼香ちゃんは困ったみたいに眉間に皺を寄せた。
「……」
「……」
「いや、ないだろ、それは」
「あるよ! てか、涼香ちゃんきれいだからいろいろヤバいんだけど」
理解できないって顔をするから、少し悔しくなった。
同性の裸なんてなんとも思わないのが普通だろうけど、俺は違う。
好きな子の裸をこんな目の前で見たら、そういう気のひとつやふたつ起こってしまう。
触れたい、抱きたいって……。
頭に血がのぼって、勢いに任せて立ち上がると涼香ちゃんに迫っていた。
「ま、まてよ……おいっ、ちょっと」
言いながら後退りする涼香ちゃんを壁際まで追い詰める。
至近距離で見てもなんてきれいなんだろう。
邪な気持ちでいっぱいの俺の胸に手をついて、涼香ちゃんは、なんだよと睨んでくる。
拒絶して嫌がる訳でもなく、ただ困ってるだけに見えた。
「涼香ちゃんがいけないんだよ。俺がこんななの知ってんのに、油断してるから……」
「だ、だって、普通に女も好きだって言ってたし。さっきだって、薫とそういう話、してただろ……」
「女の子もってことは、男もってことなんだよ?」
無防備な彼の背中に手を回すと、びくっと身体を震わせ、涼香ちゃんは俺のシャツを握りしめた。
ともだちにシェアしよう!