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プールと未遂11 《龍太郎》

「で、龍太郎さん。何か言うことは?」 吉良が爽やかな笑みを浮かべて言う。 地べたに正座して、見下ろされてるのはなんとも居心地が悪い。 「えっと、涼香ちゃん……ごめんなさい?」 「……」 「あーらら、龍太郎ドンマイ」 涼香ちゃんは目も合わせてくれない。 薫がけらけらと笑って俺の背中を叩いてきた。 見事なタイミングで薫と吉良が戻ってきてしまった上に、上裸の涼香ちゃんに迫ってる様をバッチリ見られてしまった。 そんなわけで、吉良にお説教されることになったのだった。 「龍太郎さんが涼香のこと好きなのは何となく感づいてたけど、襲うとは思わなかったなぁ」 爽やかな笑顔なのに目がめちゃくちゃ冷たい。 「返す言葉も見つかりません……」 襲ってる様に見えたのは仕方ない、半ば襲ってしまったようなものだし。 あーあ、どうせならしてしまえばよかったな。 キス。 なんて、嫌われたら元も子もないか。 「まぁまぁ、龍太郎も若いからさぁ、性欲ありあまってんだって!」 「薫、人聞き悪い言い方しないでよー……」 事実ではあるけど。 どうしよう。 涼香ちゃんと気まずくなっちゃうかな。 折角、そこそこ仲良くなれてたのに。 そうして項垂れていると、コツンと頭に手刀が降ってきた。 突然のことに見上げると、涼香ちゃんは赤面したまま俺を軽くねめつける。 「す、涼香ちゃん……?」 「……次は、ないからな」 「涼香ちゃん……っ!!」

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