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再会の前に1《龍太郎》

二年にあがりしばらくたった五月、俺はずっと探していた彼を見つけた。 ちょうど体育で体力測定なんてしている時期だった。 うちの学校では体育は二組合同で、2-2のうちのクラスとお隣の2-1とで一緒に授業を受けていた。 「走るのだるー」 「それなぁ」 50m走の順番待ちの中、運動とは無縁の薫はそうぶつくさ文句をもらして、俺もそれに相づちを打った。 ぼんやりと他の生徒が走っている姿を眺めていた。 そしてふと突然に、視界を通り過ぎていく男子生徒に目を奪われた。 「りゅーたろーどした?」 「や、あの今走ってたのって」 「あー、涼香っち?」 「すずかって……林宮涼香?」 「そうそう。めちゃんこきれいよな」 名前は一年の頃に既に聞いたことがあった。 中学から吉良と二人、学校中の女子の憧れの的だったとかそんな噂も。 「なんか似てた」 「似てたって、誰に?」 「前に話したじゃん、受験の時に一目惚れした人」 ほんの一瞬視界に映って、なんとなくあの人だと感じた。 一年以上前のほんの数分顔を合わせただけの記憶だったけれど、なぜか確信があった。 やっと見つけた気がした。 「あぁ、って……まじかよ、残念だったな」 「え?」 「涼香っちといえば、呼び出しの手紙すら受け取らないとか会ってお話もしてくれないとか、告白できたとしてもずばずば振るって話も有名なんだぞ」 薫のその言葉通り、次の日、彼が女の子を振っている場面を偶然目撃してしまった。

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