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告白2《涼香》
結局ひそひそと話し声のする教室は居心地が悪く、HRのぎりぎりまで図書室に籠もっていた。
そろそろ戻るかと図書室を後にして昇降口の前を通り過ぎた。
「あれ? 涼香ちゃん!」
聞き慣れた声に振り向くと、もうほとんど人のいないそこに龍太郎が立っていた。
「おーはよ! 朝から会えるなんてラッキー」
こんな風に二人で話しているところを誰かに見られたら、余計に噂が広まると、そう思うのに。
無邪気な笑顔を向けられ、思わず立ち止まっていた。
「……早く行かないと」
「うん、そだね。ふぁ……」
ゆっくりと教室に向かって歩き出しながら、龍太郎は呑気に大きなあくびをする。
「眠そうだな」
「うん、ねんむい。バンド練習でシフト変わってもらってたから、一昨日も昨日もバイト休めなくてさ。寝坊しちゃってこんなギリギリになっちゃった」
学校の授業にバイトに、ギターの練習……きっとずっと休めていないんだろう。
練習し始めの頃から見ていたのもあり、文化祭当日の演奏も歌も本当に良かった。
集中して聞けなかったのが惜しいくらいだった。
「けどさ」
階段の踊り場に駆け上って、窓の外の光を受けながら龍太郎が俺を振り返る。
「涼香ちゃんに会えて元気チャージできた」
真っ直ぐと向けられる笑顔に、ぐっと胸が詰まる。
「おーい、HR始まるぞ」
先生の声が上階からして、チャイムが鳴り響いた。
「やば、もうそんな時間。涼香ちゃん急げー!」
二人で階段を駆け上がって、ギリギリで教室に入った。
会うだけで元気を貰えるなんてと思っていたけれど、なんとなくわかるような気がした。
真っ直ぐで隠すこと無く嬉々とするあいつの姿を思い出すと、思わず顔がにやけそうになる。
噂も視線もどうでもいいかと思えてくる。
大概にして毒されてるなと、我ながら呆れるばかりだ。
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