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告白7《涼香》

昼時だが、龍太郎の両親は店に出払っているらしく、妹の茉子もまだ帰宅していないようだった。 しんと静かな家の中。 蒸し暑い龍太郎の部屋はカーテンを閉じたままで薄暗く、扇風機が回っていた。 「はぁ、ありがと」 ベッドに座らせると、袋からスポーツドリンクのボトルを取ってキャップを開けて渡した。 素直に数口飲むのを見守り、ベッドに横にならせた。 ふーっと深く息を吐き、龍太郎は俺を見て微笑んだ。 いつもそうだ。 俺を見ただけで、なんて幸せそうに笑うんだろう。 扇風機の風が肌を撫でて、酷く心臓の音がうるさかった。 「……いいよ」 「うん?」 「……付き合っても、いい」 龍太郎は俺の言葉を聞いて数秒固まり、そしてがばっと身体を起こした。 「え? 今、なんて……つきあっても、って、うそ……」 信じられないとでも言いたげな、それでも嬉しさを滲ませる彼の姿に思わず頬が緩んだ。 「ほら、いいからちゃんと寝てろ」 肩を掴んでゆっくりとベッドに寝かせると、龍太郎は俺を真っ直ぐと見上げた。 「涼香ちゃんも、俺のこと……好きなの?」 きらきらと瞳を輝かせて、そんな表情で見つめられて、どうやったら邪険に出来るというのだ。 少し照れくさく思いながらも頷くと、龍太郎は頬を染め、瞳を潤ませてしまう。 「大げさだ」 「だって、だって……嬉しくて、夢みたいで」 そっと頬に触れると、ぽたりと涙がこぼれ落ちた。 ずっと悩んでいた。 男同士なのもある。 出会ってまだまだ日が浅いのもある。 何より、俺は人に心を開くことが苦手だった。 誰かを好きになることに臆病になっていた。 ずっとや永遠なんてものは無く、いつかは愛した人もどこかに行ってしまう。 それでも、そうなってもいいから、今一緒にいたいと思ってしまった。 まっすぐ向けられる愛情を受け止めたいと思ってしまった。 そっと涙を指先で拭った。 「あぁ、やば」 龍太郎は目を細め、俺の手を取るとそっと頬に擦り寄せた。 「涼香ちゃん、大好き」 龍太郎の呟く声に、言葉に満たされる。 「俺も……好きだよ」 そっと呟くと、龍太郎は嬉しそうに嬉しそうに微笑んだ。

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