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第25話※
「コウ...起きれるか?」
以前も同じセリフを聞いたことがある。
あれは…確かマリカが珍しく寝落ちし、それを見たコウがマリカの隣に添い寝をした時だったっけと、思い出していた。
マリカのベッドでうっかり熟睡してしまい、翌日の朝に起こされた時だ。あの時と今日も同じように、一緒のベッドに寝ているコウをマリカは...
「コウ、起きれるか?大丈夫か?」
「起きてる…起きてるけどっ!大丈夫なわけないだろっ!」
何度も確認するマリカに朝からキレてしまう。以前と同じシチュエーションだなぁ…なんて一瞬のんびり考えてしまったが、同じなんかじゃない。今日はこの前とは全然違う!
それに、起きてるか?と、コウを後ろから抱きしめ、背中にキスをしながらマリカは何度も聞いてくるが、起きているに決まってる。そんなのマリカだって知ってるはずだ。
だって、あれからお前が一睡もさせてくれなかったじゃないかっ!
「大丈夫そうだな。朝食はどうする?時間的に食べるのは難しいか」
「おい、待て。俺は大丈夫じゃないって言ってるだろうがっ!話を聞け!」
ベッドの中で、くるっと身体を回転させマリカの方に向き直った。盛大に文句を言ってやろうと思う。
マリカと気持ちを伝え合い、お互い好意を寄せあっていたことがわかった。それは思いもしなかったこと。嬉しくて、嬉しくて何度も二人はベッドの中でキスをした。
気持ちが通じ合った後のキスは気持ちがよく、マリカから、コウからと終わりのないキスが続き、身体が熱くなっていった。
キス以上の行為なんてすぐに求めてしまう。好きな人と繋がりたい、その思いからお互い身体を求め合ってしまった。
ベッドの上、シャワールーム、ジャグジー、そしてまたベッドの上...と、マリカに求められ、コウは追いつくのがやっとだった。体力の差を見せられたように、コウはヘトヘトになったが、身体を求める度にマリカはぐんぐんと元気になっていったようだった。
「なんだ、どうした?お腹すいたのか?何か持ってきてやろうか?」
チュッチュッと頬とおでこにキスをされ、そのまま唇にも長いキスをされる。マリカの甘やかしに拍車がかかっていると感じる。そしてナチュラルにキスをされ、流されていく自分が恐ろしい。
「ち、違う!お前の体力バカが問題だって言ってんの!気持ちが通じ合ったからって、こんなに何度もヤルことないだろ!今日はこれから仕事なんだぜ。俺、足がガクガクするから、無事に立てるか心配だよ」
最後まではしていない。
最後とはセックスである。
お互いのペニスを触り、擦り合っていた。
身体を抱きしめ合い、キスをして、腰を押し付け合っていた。とはいえ、限度を超えたことをしている。
最初は身体を押し付け合っているくらいだったが、何度もマリカに身体を求められ、最後は素股と呼ばれる行為で、後ろから前からと、マリカはコウの腿の間にペニスを捻じ込み、ガンガン攻め立てていた。
肌からぶつかる音というのだろうか。マリカに腰を掴まれ、打ち付けられた時に出た音だ。その音の激しさが二人の興奮材料となっていた。
ベッドでもバスルームでも、後ろから前からと、腿の隙間にマリカのペニスを捩じ込まれ、腰を使い擦られると、コウのペニスも刺激されていた。
手を使わずにマリカのペニスで刺激されるのが気持ちよかった。マリカの長くて大きいペニスは、コウのペニスの根本から亀頭までの全体を上下にゴリゴリと力強く擦り上げた。
それに、ぬるぬるとした先走りが二人分だ。先走りによりグチャグチャという音が大きく卑猥に響き、それに触発され興奮が高まっていった。イク時は声を上げて、何度も擬似セックスをして射精をした。
マリカに攻められたとはいえ「もっと」「して」「そこ」と、最終的にはここでは言えない卑猥なことをコウも口走っていたから、慣れって怖い。順応性が高いって恐ろしい。
マリカとする行為の全てが気持ちが良かった。セックスと呼ぶ挿入以外の全てをやり切ったというところだ。
「最後までしてないだろ?大袈裟だって...それに二人の初めての夜なんだ、これくらい普通だろ?気持ちが高まって、お互いを求めあうんだから、こうなるのが当然だ」
「大袈裟じゃないっ!それに一睡もさせてくれなかったじゃないかっ!何が普通だ、当然だ!バケモンかよ。何であんなに何回もイクんだ?俺なんて一日2回イクのが今までの最高記録だったんだぜ?お前の性欲に付き合ってたらクタクタになるだろ!」
キスをし過ぎて唇が腫れぼったくなっている気がする。こうやって喋っていても、何となく唇に違和感がある。やたらとマリカに唇を吸われたことを思い出す。
「なんだよコウ、体力つけろよ~。一緒にトレーニングするか?そんな子供みたいな体力で、セックスする時どうするんだよ」
「セックス!!」
セックスで挿入する時はもっと体力を使う。今のままではへたってしまうだろう。そうなったらどうするっ!そうならないためにはトレーニングだ!トレーニングすれば体力がつくし、凄烈なセックスも問題ないだろう!と、マリカは熱弁している。たまにアホだなとマリカを思う時がある。
しかし、熱弁を聞きやっぱりセックスをするんだなと思うのと、マリカから「はい!近いうちにセックスしますから!しますからねっ!」と、言っていそうな力強い目力を間近で受けている。
「この仕事が終わったら、国王陛下にきちんと報告をして、それから大切に丁寧にお前のことを抱くから」
「報告?父さんに何の報告をするんだよ」
「そりゃ決まっているだろ。コウと真剣にお付き合いをしておりますって、改めて挨拶をして、」
「なっ、なんだそれ!そんな報告なんていらないよ!嫌だって、恥ずかしいじゃん」
「いーや、ダメだ。コウのことは、一生守ると誓います。生涯のパートナーとして共に歩んでいきますってお伝えして、陛下からお許しを一応もらってだな、」
「うげーーっ!マジで言ってる?わざわざ伝えなくったっていいじゃん。そんなの自然にわかると思うよ?マリカ、国王に忠誠を尽くし過ぎだって」
この男はまた何を真剣に言いだすんだとコウは思った。しかし、どうやら今回はふざけている様子はなさそうである。
本当の本当、本気で王に報告するつもりのようだ。コウが恥ずかしいなんて言い出したのを、一喝されていた。
「後ろめたいのは嫌だろ?これからずっと一緒にいるんだ。それなら早くお伝えした方がいいに決まってる」
ずっと一緒にいると、さらっとマリカは言うが、コウはその言葉を聞き嬉しく思った。マリカと未来を共にできるなんて、考えただけで嬉しくて、楽しみで、ワクワクするに決まってる。
「お前、意外と古風なんだな。まあ、じゃあ、伝えるタイミングだけ考えとこうぜ」
恥ずかしい気持ちを押し込め「譲歩してやる」と言うと、マリカにギュッと抱きしめられた。嬉しそうにしているマリカも何だかレアである。今までそんな顔、見せたことないだろって顔をしていると、こっちも嬉しくなるもんだ。
「あっ、そういえばさ、マリカのテレパシーマークって足の付け根にあるんだな」
昨日、裸で抱き合った時に二人でテレパシーマークを確認し合っていた。父が言っていた通り、二人とも同じマークを持っていたのがわかった時は妙に感動した。
「そう、俺のも微妙な場所にあるけど、お前のはな…確かに言いにくいよな」
「うん、まあね。でもマリカのマークみたいに自分で見える位置にあるって羨ましい。俺のは鏡に映さないと見えないもん。しかもマークは反対向きみたいだったし」
小さい頃から浮き出ているテレパシーマークだが、いまいちマークの形が何なのか自分でもわからなかった。それはコウのマークが見えにくい場所にあるからだった。
マリカは左足の付け根辺りにあるが、コウのテレパシーマークは、右足の付け根、付け根といっても内腿にあった。自分では直接確認することができない場所にあり、確認するには、足を大きく広げ、誰かに見てもらわないとわからないところにマークがある。
自分では、かがんでも、覗き込んでも上手く確認が出来ず、マークを確認する時は、鏡に映してやっと見ていた感じである。
だから確認するにも手間がかかり面倒くさい。そんな頻繁に見るものじゃないから、成人になり最後に自分のマークを見た時は、何だかわからないゴチャっとした形だなという印象だった。
そのマークをマリカに昨日見られている。
二人ベッドで抱き合っている最中、興奮したマリカに両足を掴まれ、グイっと大きく左右に広げられてしまった。その時に確認できたらしい。
コウの足を掴んで広げた状態でマリカが確認すると、マークは正しい方向にハッキリと見えたという。コウが自分で確認した時は、鏡だったし、よく見えないし、と条件が悪く、自分からはマークを逆さまに見ていたということがわかった。
コウとマリカのテレパシーマークは4つの三角が重なり合っているものである。重なり合った中心に、ポースと文字が浮き出ているそうだ。
「綺麗にポースって浮き出ているぞ」とマリカがコウのマークを指でなぞって言っていたから、そうなんだろう。
ポースとはギリシャ語なんだとマリカが教えてくれた。
「ポースって、光って意味なんだな。二人とも本当に同じマークなんて不思議~。だけど、何でポースなんて文字が入ってるんだろうな」
他の人も同じように文字が入っているのだろうか。みんなはどんなマークなんだろうと、コウはマークに興味を持ち始めていた。
「コウ、足広げろよ。もう一回見せてくれよ」
「嫌だよ!なんで見せるんだよ。こんなところにあるのって恥ずかしいしさ...」
「エロいじゃん。めちゃくちゃ興奮する。なあ...コウ...」
マリカが上から覆うようにかぶさり、キスが再開された。この部屋に入ってからずっと、ほぼ全裸で二人は過ごしている。
服なんてすぐ脱ぐんだから着る必要はない!と、マリカに言われて、そうだよな…なんて、納得してしまっているのは、もうおかしなことなんだろうか。
とりあえず体力つけなくちゃと、キスをされながらコウは考えていた。
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