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第7話 新しい仕事

 七瀬には土地神という立場とは別に仕事があった。  住民のために、薬師をしているそうだ。 「薬師とはいうが、簡単なものばかりだ。難しい病やけがは治療院へ行ってもらう。ただ、処方する薬には、神力を入れているからな。効き目は良いはずだ」  神様の力を入れた薬。それは効き目もいいだろう。   「春斗には私の補佐をしてほしい」  初めは薬のことなんて知識もないし……と断ったが、他にできることもなく、ましてや何もしないでいるのも気が引ける。  結局、七瀬の手伝いをすることが一番無難だと引き受けることにした。  手始めに、薬棚の整理をすることとなった。  整理をしながら、多種多様な薬草について七瀬から教わる。  薬草一つでも効果があるが、複数を混ぜることによってまた違った効果も発揮するらしい。 なんとも奥深く難しい世界だ。  しかし、もともと祖母秋江と薬草採りをしていたこともあり、自分でも驚くほど覚えは良かった。 「春斗は薬師の才能があるんじゃないのか?なかなか期待できそうだ。私は優秀な嫁をもらったな」 「え、あ、……ありがとうございます」  仕事では褒められたことがない春斗は、どのように返事を返したらいいかわからず、ドギマギしてしまう。しかも、さらっと嫁発言されている。 「そうだ、明日は薬草を採りに山に入ろう。ずっと家の中にいるのも体に良くない」 「山ですか?」 「そうだ、薬草と山菜と、この季節ならおいしい木の実もあるだろう」 「わあ、ぜひ行きたいです! 山の山菜や木の実はおいしいですからね!!」  春斗は山が好きだった。おいしいものもあるし、景色も空気も美しい。  春斗は遠足前の子どものように、わくわくしていた。

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