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第32話 初夜2 R18
春斗は仰向けにされ、七瀬が覆いかぶさってくる。
壊れ物を触るかのように、七瀬の滑らかな手が春斗の体の上を滑る。
「ぁ……」
春斗は思わず漏れそうになった声を慌てて押し殺した。
「声を聞かせてほしい」
そんなことを言われても恥ずかしい。
「無理です……恥ずかしくて……」
「そうか。残念だ。では、我慢できなくしてやろう」
ニヤリとどこか楽しそうに笑う七瀬に、春斗は嫌な予感がした。
七瀬は、春斗の首元に唇を寄せ、チュッと吸い上げる。
その刺激に春斗は肩を揺らした。
首元から胸、臍、太腿と至る所に口づけられる。その間も七瀬の手は休まることなく、春斗を撫で続ける。
丁寧な愛撫に、春斗の中心は熱く頭を持ち上げていた。
「……ここも可愛いらしいな」
「んぁ、や、見ないでっ」
七瀬は春斗の抗議は聞こえないとでも言うように、そこに手を添え、口に含んだ。舌を絡めながら上下に扱くと、春斗から堪えられない喘ぎが漏れる。
春斗は驚きのあまり、思わず顔を持ち上げて、そこを見てしまった。七瀬は長い髪を耳に掛け、伏し目がちにそれを銜えている。
あまりの衝撃的な光景に、春斗は慌てて七瀬の頭を押し返した。しかし七瀬はびくともせず、さらに深く銜え込む。
信じられない。湯浴みはしたとはいえ、あんなところを口に入れるなんて。
春斗はもはやパニックになっていた。
実は、学生時代から恋愛に疎く、春斗にはそういった経験がなかったのだ。
「うっ、ひ……や……」
経験したことのない激しすぎる快感と羞恥。
春斗は恐怖を覚えた。水の中で呼吸ができず溺れているような感覚でうまく呼吸ができない。
「春斗?」
春斗の反応に違和感を覚え、七瀬は視線を上げる。
春斗が苦しそうに眉を寄せ、瞳に涙を溜めていることに気づき、慌てて春斗を抱き起した。
「大丈夫か?」
七瀬は胡坐をかき、向かい合わせで春斗を膝に乗せ、抱きしめた。
安心させるように背をさすり、呼吸を整えさせる。
「ごめ、なさい」
「謝ることはない。私が性急すぎたのだ」
背を撫でる七瀬の優しい手つきに、春斗は次第に冷静さを取り戻した。
と同時に、七瀬に対し申し訳なさが込み上げてくる。
心の通じ合ったもの同士であれば、そういった欲もあるだろうし、知識としては知っている。
それをこんな風に取り乱し、拒絶のようになってしまうなんて。七瀬はきっと気を悪くしただろう。七瀬に愛想を尽かされたらどうすればいいのだろう。
「春斗、すまなかった」
春斗の呼吸が整ったのを見て、七瀬は春斗を膝の上から降ろす。
「今日はもう休もう。おやすみ」
七瀬は、春斗の頭を愛おし気に撫でると、自身の布団に戻ろうとする。
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