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第34話 初夜4 R18
七瀬は、緊張を解すように巧みに指を動かす。
そして、ゆっくりと確認するように、七瀬の指が押し込まれていく。
「うっ、や、こわいっ……」
春斗は七瀬の寝間着の肩をぎゅっと握りしめた。
緊張して固まる春斗に、七瀬は口づけを送る。
それは殊更優しく、宥めるような口づけだった。
「大丈夫だ。力を抜いて」
春斗は、何とか力を抜こうと、ゆっくりと息を吐く。
「ん……!」
力が抜けたところで、さらに押し込まれる。
七瀬の長い指で、じわりじわりと押し広げられ、慣らされ、春斗は異物感だけではない甘い痺れを感じるようになった。
「……頃合いか」
そう七瀬が独り言のように呟き、徐に指を引き抜いた。
「あぁっ」
その何とも言えない喪失感に春斗は身を震わせる。
七瀬はさっと自身の衣を脱ぎ捨て、再び七瀬に覆いかぶさった。
その時に意図せず見えた七瀬のそれ。
春斗はその大きさに慄いた。
「七瀬さんっ、それは、無理っ……」
「大丈夫だ。無理はしない」
そう言って、春斗の両足を大きく開いた。
足を押し上げるように開かれ、羞恥と恐怖で体が硬くなる。
「力を抜け。心配はいらない」
場違いなほど優しく微笑む七瀬。春斗は心を決めて、大きく深呼吸した。
そこに七瀬の熱いものが宛がわれる。
押し付けられ、ゆっくりと侵入する圧迫感に春斗は目を瞑った。
七瀬の肩に置いていた手に力が入り、春斗の爪が七瀬の肩に小さな傷を作る。
「う、あ、」
苦しい。体を押し広げられるような圧迫感に、再び恐怖が込み上げてくる。
「くっ、春斗……」
七瀬も苦しそうだった。
何とか力を抜かねば。七瀬を受け入れたい。その一心で春斗は深呼吸を繰り返した。
七瀬は春斗の呼吸に合わせて、少しずつ押し進んでいく。
全部が入りきったとき、二人の深い呼吸が重なった。
「春斗……」
「七瀬さん……」
どちらからともなく合わせられる唇。
深く、濃厚な口づけと共に、七瀬が律動を始める。
「んんっ、ぁ」
揺さぶられる度に漏れ出る春斗の嬌声と、七瀬の荒い呼吸音が重なる。
官能的な空気は密度を増し、甘い柑橘の香りが鼻腔を擽った。
春斗はそんな濃厚な空気に飲み込まれるようだった。
「んんんぁっ!!」
突然、最奥を突かれ、春斗はその衝撃に一際大きい嬌声を上げる。何度も何度も繰り返される刺激に、気が遠くなってくる。
「春斗、こっちを見ろっ……」
七瀬の言葉に従い、固く閉じていた瞳を開く。
七瀬は春斗を見つめていた。
銀色の透き通った瞳に春斗が映る。七瀬の色白の頬も赤く染まり、額には汗が滲んでいる。とても煽情的な光景だった。
七瀬の限界も近いのだろう。七瀬はより一層動きを早くし、肌を叩きつける。
「春斗っ、そろそろ……ッ」
「んんんっぁ……!」
春斗の中に熱いものが広がると同時に、春斗も二度目の欲を吐き出した。
七瀬は春斗に覆いかぶさるようにして、肩で息をする。
しばらくして息が落ち着いてきたところで、七瀬は春斗の額に唇を寄せた。
「春斗……好きだ」
春斗は照れてしまって、返事をすることができなかった。
軽く互いの体を綺麗にし、一緒に布団に潜り込む。
七瀬は照れて背を向けている春斗に体を寄せ、後ろから抱きしめた。
春斗は、七瀬の体温を全身で感じ、なんとも言えない心地だった。
緊張と高揚と多幸感。七瀬の体温はとても気持ちがよく、己の体に馴染んでいくような気がした。
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