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第7話※

 平々凡々で、βで……なのに。小さな唇から熱い息を吐き、眉根を快楽に歪ませる晴也は、攻めたてる秀一を心の底から興奮させる。晴也は運命じゃないのに。どうしてこんなにも、秀一を熱くさせる。もっとだ、足りない。もっと、秀一の色に染め上げたい。 「ダメなの? ほんとに? 晴也さんのココ、俺に触られて、こんなに……感じてるのに」 「ゃうっ」  優しく打ちつけるシャワーの粒が、晴也の身体を滑り落ちる。からからに乾く秀一の、小さな世界が瑞々しさを得て、幾筋もの大きな輝きを放つように、綺麗に映る。  湧き上がる欲望に逆らわず、秀一の指先が晴也の震える茎に触れた。晴也のそれは秀一よりも一回り小ぶり。けれど、足の間に埋もれることなく存在を主張していた。 「んぅーっ、やッ、だ、だめ……っ」 「硬くなってる。もう先っぽから、晴也さんのが、溢れてきてるよ」 「いぁっ、さわ、なぃ、で…ぇ…っ!」 「かわいい。ちゃんと硬くなって、恥ずかしそうに震えてて。でも弾けそうに、膨らんでる。えらいね」 「ふ…ッ、う、う、ひあっ!」  きゅっと震える茎を前後に擦り上げれば、晴也の鈴口からくちゅくちゅと濡れる音が混ざる。静かに降り注ぐ水音とは違い、ひどく淫らな音だ。  今にも弾けそうに蜜を零す先端を、親指の腹でくりゅくりゅと撫でつける。ときおり甘噛みするように、硬い爪の先で柔らかく弄って刺激した。 「んひっ、あ、あぁ、あぁッ!」 「いいよ、出して」 「ンんっあ、っぃあ! やっ、ぬ、濡れ、ちゃ…ぅ…ッ、よご…、ちゃう…、からぁ…っ!」  もじもじと揺れる晴也は限界が近いのだろう。射精を促せば、抱き合う秀一が、晴也で汚れると言って首を振った。性行為なんて、ぐちょぐちょになっていいのに。むしろなって欲しいのに。何も知らない無垢な存在みたいで、晴也の全部が可愛いすぎる。  秀一の首に、いつの間にか抱きついたことにも気がついていないのだ。白い頬を上気させ、晴也は詰めた吐息をぎこちなく零す。  射精したいのに震えるほど我慢して、もじもじと腰を揺すり、潤む瞳から、ぽろりと透明の涙が落ちる。抱き合う体勢で目の先にある、晴也の細い首筋に愛おしく唇を寄せた。ここを噛んで、自分だけのものにできたなら。 「晴也さんので汚していいよ。俺も、晴也さんと一緒に綺麗に洗うから。ひとりが嫌だったら、俺と一緒にイく?」  我慢しなくていいと、晴也の耳元で優しく吐息を吹きかけてやる。初心な射精を誘導するように、秀一は晴也の陰茎を手のひらで包んだ。  とろとろと雫を垂らす晴也のそれに、自分のそそり立った逸物を添える。互いのものを重ね合わせ、同時に擦り上げた。  晴也が無意識に腰を揺らせば、秀一はさらに力強く腰を突き出す。じっとりと濡れる、晴也の陰茎を、硬くそり立つ逸物のすべてで撫でていった。 「あっ、あ、あ、ぁあっ! あッ、んっ、で、でちゃ……ぁっ」 「はぁッ、晴也さん、俺も……っ! 一緒に……!」  秀一の突き上げに催促された、晴也の先端からぴゅっと白い粘液が噴き出る。擦り上げる硬い腹筋に温かな粘液を感じ、追いかけるように、秀一は晴也を両腕に抱いて吐精した。  晴也の身体は完全に脱力し、細い裸身が荒い息をつく。大きく胸を上下させた晴也を背中ごと抱きしめ、上気するやわらかな頬に、ふんわりと口づけた。  ベッドに寝かせた晴也の素肌を堪能する。もっと晴也を味わいたいけれど、名残り惜しく服を着せた。秀一目線で見たら、十分可愛らしく見える寝顔を間近で覗く。こうして見ると、白い肌に黒いまつ毛が意外と長いと思う。  おそらく行為の名残だろう。瞼を閉じた目元にはうっすらと涙のあとがあった。強引だったから、嫌だったのかな。泣くほど嫌だったのか。  少し気落ちしながら、秀一は晴也の片頬を手の甲で撫でた。 「ん……っ」

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