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第18話 君はアイドル
「っあ、ん……っ!」
身体を貫く央華の熱に簡単に絶頂に向かわされた。
「しー、声聞こえる」
央華が耳元で囁く声にぞくぞくと身体が震えた。
以前よりも躊躇いなく誘ってくるようになった央華に学校のトイレで犯されていた。
便座に腰掛ける央華にまたがって奥を攻められると、羞恥と興奮でおかしくなりそうだった。
やめなくちゃ。嫌と言わなくちゃ。
そう思うのに実行に移せないままだった。
自分の事になるとどうしたら良いのかわかんなくなってしまう。
演技してるとしたらどうするんだろう?
どんな自分を演じたらこれは終わるんだろう?
「っ……ふ、んんっ」
急き立てるように腰の動きを早められると、もう何も考えられなくなってしまう。
どうやったら、嫌われずにグループとしての関係は築いたまま、抱きたくないと思わせられるんだろう。
腰を掴まれ揺さぶられ、ぎゅっと口を覆って声を抑えながら何度も考えようとした。
「……っ、楓季」
央華の余裕なさそうな顔を見下ろしていると、また頭が真っ白になる。
なんでこんなにきれいな顔をしてるんだろう。
なんでこんなにも俺を求めてくれるんだろう。
口を覆う手をずらされ、唇を重ねられる。
「ん、ふ……っ」
央華も余裕なさげに吐息を漏らしていて、舌を触れ合わせながら、身体の奥がじわっと暖かくなる。
「んぁ……ぁ」
気持ちよくて、結局なにも考えをまとめられないまま、央華に抱きついて余韻に身体を震わせた。
「楓季す」
央華の声が、トイレにやってきた生徒の笑い声でかき消される。
そのまま息を殺して抱きついていると、果てたはずの央華が入ったまま大きくなってくる。
人がいることにドキドキしているのは俺も同じだった。
見つかりやしないかと緊張感が走る中で、ゆっくりと央華が腰を動かす。
じゃれ合ってけらけら笑う声が近づいたり遠のいたりして心臓が張り裂けそうだった。
ぎゅっと央華にしがみつき声を押し殺そうとすると、自然と締め付けてしまって、央華の動きがより伝わってきてもどかしいくらい感じてしまう。
央華の大きいのでゆっくり出し入れされると、堪らなく気持ちいい。
声が出そうでたえられず、央華の肩口に顔をくっつけて息を殺して耐える。
生徒たちの笑い声が遠くなり、出ていったのがわかった。
「楓季もっかい」
央華が俺の背中を撫で、奥を小突く。
断らないと……。
身体が疼くのを耐えて腰を上げて引き抜く。
「も、終わり……」
「ふ……もっとって顔しながらそんなこと言うの? わざと?」
首を振りながらふらふらと扉にもたれる。
身体が動くままに抵抗しようとしながらも、うまくいかない。
央華はそんな俺をおかしそうに見ながら、慣れた手つきでゴムを替えて、もう一度する気まんまんだ。
「どんな顔してるか見せたげたい」
央華は立ってるのがやっとの俺の片足を掴むと持ち上げて、そのまま入口にじれったく擦り付けてくる。
欲しくて、欲しくて、おなかがきゅっと切なくなる。
タイミング良くチャイムが鳴り響いた。
「い、行かないと……ん、っ」
どうにか央華に訴えようとするが、央華は特に気にするでもなく先端を出し入れし始める。
そして何を思ったのかトイレのロックを外し扉をあけた。
誰か来るかも知れないのにとぞわりとする。
「お、央華? い、いや……っ」
心臓がバクバクして混乱する俺を引っ張っていき、シンクに手をつかせ鏡に顔が映るようにされた。
「ほらみて、すげー物欲しそうな顔」
央華に顎を掴まれ鏡を向かされる。
上気して興奮を滲ませた赤い頬、涙を浮かべた瞳は偽り無く央華を欲していた。
央華が一気に奥まで深く入り込み、快感で顔を歪ませる。どこか満足そうにも見える。
「はぁ、楓季……」
切なそうな声をあげて央華が俺のシャツをずらして背中にキスを落とした。
俺を求めるような、愛情を感じる仕草にぞくりとする。
快感に悶えながら……ぼんやりと考えていた。
顔だ。表情まで演じきらないと。
所作もそう。余裕が無くなる前にもっと強く抵抗しないと。
今まで受け入れることで楽になっていたせいで、そこを変えてしまうのが酷く怖かった。
同意のない行為は虐待と、いつか匡次郎が言っていた言葉が身にしみる。
拒否することで酷く苦しむのは、もしかしたら俺の方なのかも知れない。
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