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【央華×楓季】Adore You 2

「嫌だったら嫌って言って?」  そのまま壁に背を預けた。  央華の指先が腰を撫でる。  バスローブの裾から手を忍ばせて生身の太ももを撫でられ、ぞくぞくと快感が這い上がった。 「あ、だめ……っ」  身体を揺すった拍子に、だらだらと蜜を溢れさせる俺自身が顕になった。  自分の荒い呼吸とどくどくと脈打つ心臓の音がうるさい。  ぴんと形を示すそこに触れて欲しいのに、央華は俺の様子を伺って手を引いてしまう。 「……っ」  触って欲しい、でも、やめなきゃ……。  そう思っているのに、つい央華の手を掴んでしまう。  真剣に央華は俺を好きだと言った。  そんな彼の気持ちをなあなあにして、こんな事だけするのなんて良くないってわかっている。けれど、どうしようもなく火照った身体が彼に触れられる事を求めてしまう。 「告白の返事は後でいいから」  央華の低い声が身体に響く。 「ここ、触っていい?」  指が触れそうなくらい近づく。  それだけで、びくんと勝手に跳ねてしまい、羞恥で顔が熱くなった。 「さ、さわって……」  つくづく欲に弱い自分が嫌になる。 「あ、んんっ」  央華の指先が滴る蜜をそっとすくい上げて、優しく先端を包みこむ。  ぞくぞくと身を焦がすような悦びが突き抜けて、壁に身体を押し付けるようにして堪えた。  指を上下に擦られて、待ち望んでいた快感に、怖いくらいの高揚感に包まれた。  央華に触れられているという事実がより一層、興奮を高めていた。 「はぁ、あ……っ」  久々の人から与えられる刺激に耐えるすべもなく、呆気なく熱を吐き出してしまった。  央華の手を汚す白濁液を呆然と眺めていると、あろうことか汚れた俺に央華の舌が触れて、そのまま咥えこまれた。 「っ……おう、かっ」  温かな口内に包まれて吸い付かれ、堪らなくまた欲情している自分がいた。  央華に教え込まれた快楽を思い出し、収まるどころかまた張り詰めてきてしまう。  ここ最近いつもそうだった。いくら一人でしても物足りず、余計に悶々としていた。  ふと見上げる央華と目が合い、胸が締め付けられる。  そのまま唇を離されて切なさに腰が震えた。  バスローブの紐を解かれ、焦らすように太ももや下腹部にキスを落とされる。足を撫でていた手がついと後ろに向かい、尻たぶを撫でられてぞわぞわと身体の奥が疼いた。  触れるか触れないかの優しい手つきに、耐えられず央華の手を掴む。 「ぁっ、も、触って……っ」  とうとう言ってしまった。  もう今はそのことしか頭にない。  くすりと央華が笑うのが聞こえて、腰を掴んで後ろを向かせられる。  自分からバスローブを脱いで、壁に手をつくようにして腰を突き出すと、央華の指先が後ろの穴に触れてたまらずに仰け反った。  尻たぶを両手で抑えられ開かれて、入口にぬるっとした感触が触れる。 「っあ、はぁ……んっ」  唾液をたっぷりと絡めた央華の舌が入口を舐めて、舌先が忍び込む。  気付けば央華に弄られたまま、手を伸ばして自身を慰めていた。  舌の艶めかしい動きに恍惚としながらも、淫猥な身体はさらなる刺激を求めてしまう。  それを知ってか知らずか、央華は口を離すと、唾液で濡れそぼったそこに指先を埋めてくる。 「ふぁ、あぁ……っ!」  すんなりと受け入れてしまう秘部を、探るように指で引っかかれて堪らずに声が漏れた。  「自分でしてたの?」  指を二本に増やして刺激する央華がそんな事を聞いてきた。  言い当てられ、羞恥心でいっぱいになるが今はそれすらも興奮の投下剤だった。 「央華の欲しい……」  指だけじゃ全然足りなくてついそんな事を口走ってしまう。  何度も何度も央華に犯されていたときの記憶が頭を占めていた。  指を引き抜かれて、腕を捕まれそのままベッドに押し倒された。  唇を塞がれ、舌を絡めて深くキスをした。  はやくはやくと馬鹿になった頭はそんなことで一杯になる。  央華にあんなに真剣に告白されたことも、今は考えられない。  下をずらして現れた央華のガチガチに固くなった屹立が視界に入り、奥が疼いた。  そのまま中に押し込まれ、圧迫感に息が詰まった。 「っ、ん、あぁっ……央華っ」  押し広げられ、これが欲しかったんだという充足感でいっぱいになった。 「きっつ……」  足を掴まれて深くまで入り込み、ゆっくりと馴染ませるように動く。  一人だと届かないくらい深くに当たって恍惚としてしまう。 「はぁ、ん……もっとして」  自分で前を弄りながらひくひくと後ろを締め付けて強請って……。  止められないくらいに情欲の波が押し寄せる。  央華の色っぽい視線に釘付けになりながら、引き抜いては深くまで押し込まれ快感に身悶えた。 「いいっ、あっ……気持ちいいっ」  腰を掴み直されて、角度を変えていい所を執拗に攻められる。  頭が真っ白になってがくがくと身体が震える。 「おう、か……あぁ、だめ、イっちゃう……っ!」  繰り返される強い刺激に堪えられずに、あっという間に果ててしまった。 「っ、ん……」  引き抜いて央華も俺の腹部に欲を吐き出した。  満足感でいっぱいでぐったりとしていると、央華が覆いかぶさるようにして俺を見下ろした。 「はぁ……おうかぁ……」  そっと両手を彼の首に回してキスをする。  央華の気持ちを知っていながらこんなことしてしまうことに罪悪感はあった。  こんな身体にした彼のせいだって思い切るには、あまりにも意志の弱い身体で嫌になる。  イきすぎてぐったりとした身体をベッドに預けたままぼんやりしていると、央華が身体を起こして俺を見つめた。  どうしたのだろうかと首を傾げて見せると、央華は彼にしては珍しく気弱そうな表情で口を開いた。 「楓季がいいなら、デートしない?」  意外な申し出にぽかんとしていると、央華は気恥ずかしそうに前髪をかき上げた。 「告白の返事は、全然まだでいいから……。身体だけじゃなく、さ……もっと俺とのこと考えてみて欲しい」 「……うん」  そう頷くと、央華はぱっと顔を綻ばせる。  そんな小さな仕草ひとつひとつが、彼の告白が本心からなんだと思わせて、胸を鈍く締め付けた。

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