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【慧菜×楓季】暁に咲くレディ・ブルー 4

 気分転換が功を奏したのか、思い悩んでいた心が少しだけ楽になった。  とは言えSNSでは目撃情報が広まり小さな騒ぎになり、マネージャーにはもっと気をつけるようにと注意される始末だった。  それでも行って良かったと後悔はない。  打ち合わせの前に3人揃っている時間も今日はこの間よりずっと穏やかな気分で過ごしていた。 「ん、うま。一口飲む? 央華」  新作のいちごオレを飲む慧菜は、そう言って隣に座る央華にカップを差し出す。  ストローに口をつけ央華が一口飲んだ。 「……あまっ」 「央華には甘すぎたか」 「うん。けど、悪くない」  気にしないようにと思い、資料に視線を落としながらも、その何気ない央華と慧菜のやり取りがつい気になってしまう。  胸のあたりがざわついて、嫌な感じ。  なんでこんな気持ちになるのかよくわからないまま、手慰みに資料のページを捲ってみたりした。 「ふうくんも飲む? 甘いの好きだよね」  慧菜にそう声をかけられて、小さく心臓が跳ねる。  それを表に出さないように堪えて、資料から目線を上げて頷いた。  慧菜に差し出されるカップのストローを咥えて吸い上げる。甘酸っぱいいちごとミルクの優しい風味が口に広がる。 「おいしいね」 「でしょ」  言いながら、にっこり微笑んで自分の口元に運ぶ慧菜。  いつも通りの何度も繰り返してきたやり取りなのに、何を今更意識してしまってるんだろう。 「そうだこれ、返すね」  慧菜から紙袋を手渡された。中身を覗くとこの前貸したパーカーだった。  どうやらわざわざ洗って返してくれたようだ。    忙しい一日が終わって、くたくたになってベッドに身体を預けた。  静かな夜は、いつも頭の中の声がうるさくなる。  ダンスも歌ももっと練習に時間を割かないと。  オーディションももうすぐだ。  学校のテストも――。  そんな雑多な思考の中に、慧菜の顔が浮かぶ。今日も可愛いかったなとか、しっかりしてるよなとか。  ふと思い立って、彼から返されたパーカーを紙袋から取り出した。  俺のじゃない慧菜の匂いがする。甘い花のような優しい香り。  馬鹿らしいとは思うけれど、どうせ誰に見られることもないのだからと、パーカーを胸に抱いたままベッドに横になった。  呼吸するたびに甘い香りが鼻腔をくすぐり、不思議と気分が落ち着いてくる。  慧菜がそばにいてくれてるような安心感がある。  そのまままぶたが重くなり、目を閉じた。 「ふうくん……」  慧菜の制服のシャツに手を掛けて、そっとボタンを外していく。  色白な肌は、きめ細やかで滑らかでずっと触れていたいくらいに綺麗だった。ほんのりと色づく胸に触れると身体をびくつかせて、慧菜は小さく吐息を漏らす。  彼の甘い香りに包まれて、興奮が高まっていく。  素足の太ももに触れてゆっくりとスカートをたくし上げると、女性ものの淡いピンクの下着が見える。 「触って、ぼくもう……」  レース地に指を這わせると、慧菜が固く形を示しているのがよく分かる。  これが夢だとなんとなく自覚していた。  それでも、だからこそ、止まらなくなってしまう。  下着をずらし、慧菜に直接触れる。熱く固いそこを指先で刺激し、濡れそぼる先端を優しく指の腹でなぞった。 「ん、ぁ……そこ、やばい」  赤く頬を染めて、高い声をあげる慧菜。  そんな彼の姿に隠せないくらいに欲情して、顔を近付けて舌を這わせた――。 「……っ」  いいところで目が覚めてしまい、小さくため息をついた。   いい加減にしないとと思いつつも、誤魔化しきれないくらいに興奮していた。  布団の中で自身に触れるとすっかり固くなっている。服をずらして握り、欲望のままに手を動かした。  こんなことやめないと。  そう思いながらも、パーカーに擦り寄ってその香りを嗅ぎ、先程までの夢の光景を頭に思い浮かべながら行為に耽った。

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