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第8話 裁き処へ
「ねえ、俺はそこには行けない?」
里緒と菜緒は困ったように眉を下げる。
「……行けなくは……ないです」
「本当に?!」
「はい、春斗様は七瀬様の伴侶です。伴侶であれば人間でも裁き処に行くことはできます。ただ……」
菜緒が言葉尻を濁して渋い顔をする。
「ただ?」
「七瀬様は春斗様に来てほしくはないと思います。先ほども待つようにおっしゃいました。罰を受けているところを見られたくないのでしょう。心配をかけてしまうことになるとお思いなのです」
里緒も隣で頷いている。
でも、それでも……七瀬さんだけに背負わせるのはおかしい。もともとの元凶は俺だ。それに伴侶だというのであれば尚のこと何でも分かち合うべきではないのだろうか。
俺は七瀬さんの元へ行きたい。
その一心で必死に二人を説得した。
「お願いだ。君たちの力がないと七瀬さんのところへ行くことはできない。……お願いだから……」
春斗の必死の形相に根負けした里緒と菜緒は、困ったように頷いた。
「では、約束してください。どんなことがあっても、私たちから離れないでください」
「わかった! ありがとう!」
「いいですか? どんなことがあってもですからね」
二人に念を押され、春斗もしっかりと頷いた。
着いた場所は、神殿のようだった。
去年の祭りで見た神殿よりも遥かに大きい。その神殿の前は白い玉砂利で一面が覆われていた。
神殿中央付近の砂利の上に七瀬の姿はあった。
七瀬は砂利の上で正座をし、言わば土下座のように頭(こうべ)を垂れている。
神殿の中央、階段の上には、長い白髪に長い白髭、白い着物に白い袴、羽織という、春斗にとっては正に神様のイメージそのもの、という出で立ちの老人が立っていた。
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